発熱や激しい咳が1か月近く続くこともあるという『マイコプラズマ肺炎』。
患者数は現在東京都では過去最多に上るなど、関東や東北を中心に全国19都道県で増加しています。
症状や対策について、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長に聞きます。
【写真を見る】全国で感染拡大『マイコプラズマ肺炎』症状は風邪とどう違う?予防法は【ひるおび】
初期は診断がつきにくい「マイコプラズマ肺炎」
≪マイコプラズマ肺炎の症状≫
【1~2日目】
・発熱・けん怠感・頭痛などの初期症状
・炎症を確認できず診断が難しい
【3~5日目】
・咳が悪化することが多い
・病院受診の目安
【3~4週間】
・熱が下がってもひどい咳が長く続く
患者数は関東や東北を中心に全国19都道県で増加。
東京都では、1医療機関当たりの患者数が統計開始(1999年)以降最多になっています。
また、今年の患者数の累計では10代以下が90%を占めています。
いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長は
「マイコプラズマ肺炎の患者は流行している年でも1日1人前後だった。現在は1日3人から4人が来院していて、かなり流行しているという体感」
と話します。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
抗生物質は有効なんですが、最近のマイコプラズマは耐性を獲得した菌が多くて、通常のマクロライド系という、第一選択として我々が使ってきた抗生物質が効きにくいんですね。第2選択の抗生物質を使わざるを得ないことが多くなってます。
恵俊彰:
マイコプラズマだとわかれば対応できるお薬は何種類かあるということですね。
伊藤博道院長:
はい。ただ最初の1日目2日目は風邪症状とほとんど見分けがつかない方もいます。
3日目以降、咳がひどくなってきます。人によっては呼吸困難とか、胸の痛みが出てきたり倦怠感が強くなってくる。熱も高くなってくる。
最初は乾いた咳が多いんですけど、後期に痰が絡んできて、いかにも肺の奥深いところまで感染・炎症が広がったなというふうになってきて、初めてマイコプラズマの検査診断がつくという方も少なくないんですよね。
恵俊彰:
風邪っていうと、鼻水とかくしゃみとか咳が最初から出る印象があるんですけど、マイコプラズマ肺炎は最初は鼻水とか出ないんですか?
伊藤博道院長:
鼻水はあまり出ないことが多いんですが、鼻水が出るケースもあるので、「鼻水が出るからマイコプラズマじゃない」とも言えないんですよね。
最初はどう見ても熱と倦怠感だけでマイコプラズマとは言い難いというケースでも、3日目ぐらいになって咳がひどくなってきて、やっとその時点でレントゲンで影が出始める。
抗原検査で陽性を示し始めるというようなケースが多々ありますので、最初はわからないということを前提に考えて、3日目4日目以降の症状に気をつけるということが非常に重要だと思います。
4年に一度流行する“オリンピック病”
4年に一度、オリンピックの年にマイコプラズマ肺炎が流行することで、“オリンピック病”とも呼ばれています。
2011年、2012年の頭にかけて流行し、その次の流行が2016年。2020年にはコロナ禍での感染対策の徹底によりマイコプラズマ肺炎の患者の数は減っていました。
そしてその4年後の2024年である今年、流行しています。
伊藤院長は流行の理由について
「コロナ禍で免疫力が低下している可能性と、抗菌薬に対して抵抗力を持ってしまう耐性菌の出現も指摘されている」
と話しています。
「マイコプラズマ肺炎」対策はー
マイコプラズマ肺炎は飛沫や接触で感染するので、家庭内で感染を防ぐのが難しい感染症です。
伊藤博道院長:
症状が出る1週間ぐらい前と、ある程度症状が良くなってから二、三週間ぐらいは人に感染させる力があるということと、潜伏期間の長さと両方ありますので、なかなか家族内での感染を防ぐのが難しいというところがあると思います。
恵俊彰:
感染はお子さんが中心なんですか?
伊藤博道院長:
7月8月は圧倒的に小学生を中心とした学生さんが多かったです。
9月になってから大人世代に市中感染が増えてきて、最近では幼稚園・保育園の世代もいます。普通5歳未満には少ないとされているんですが、保育園でも流行っているということなので、かなり年齢層が広がってきていると思います。
コメンテーター 小林よしひさ:
今週の頭ずっと幼稚園で体操に行ってたんですけどもやはり咳をしている子は少し目立ってはいました。それがマイコプラズマなのかわからないので、やはり徹底した体調管理とか手洗いうがいしか対策はないんですかね。
伊藤博道院長:
対策は特別なものはなくて、標準感染予防策であるうがいや手洗いや換気です。
個人的に思うのは、特に人混みや、集まって勉強や仕事をする場にいた後は、その日のうちに入浴をして体の表面に付着した菌をしっかり洗い流す。
それから入ってこないようにするのと共に、自分の体の内なる免疫力を維持する。
入浴で疲れを取ったり、体の循環を良くしたり、栄養や睡眠をきちんととるということが大事なのかなと思います。
受診に関してはーー
伊藤博道院長:
基本となる症状の軸は咳ですから、咳がひどくなってくる、例えば夜も眠れないぐらいの咳とか奥の方からはむせ込んできて吐いてしまうような咳とか、こういう方はマイコプラズマであろうがなかろうが、早めに受診をしていただくということが重要になってくると思います。
(ひるおび 2024年10月3日放送より)