木は自らその場を動くことができないため、害虫に襲われたり山火事で燃えてしまったり、はたまた人間が材木用に伐採したりと、寿命を全うすることが難しいともされます。
そのため、寿命まで成長した木が一体どのくらいの大きさになるのかは計り知れないともされます。
そして、世界には限界まで成長し続け奇跡の生命体といわれるほどの樹木が存在しているのです。
数百年~数千年も生き続け世界一高いといわれている木、その名は「セコイア」。
セコイアはなぜそんなに長生きすることができるのでしょう?
今回は、神秘の木セコイアについて解説いたします。
「セコイア」とは
ヒノキ科(またはスギ科)セコイア属という常緑針葉樹で、世界で最も大きくなる樹種のひとつです。
冬季でも葉を落とさず樹木が丈夫なことから、日本でも庭園や街路樹、商業施設のシンボルツリーとして重宝されています。
原生地はアメリカ
セコイアは、アメリカ北西部の山地に自生しており、広大な「セコイアの森」として広がっています。
その大きな樹木からなる大自然を見るために多くの人々が訪れる観光名所になっています。
通称「レッドウッド」
樹皮は赤褐色で木の内部も赤身があるため、通称レッドウッドと呼ばれています。
なんとこの木は樹皮の厚さが30cmほども!
この非常に分厚い樹皮を有していることと木質部にタンニン(ポリフェノール化合物。殺菌作用があり腐食を防ぐ性質)を豊富に含んでいることから、シロアリやその他の害虫からも樹体を守ることができるのです。
樹高世界一!
樹高世界一の木もセコイアの一種です。
最も高い木はハイぺリオンという名のセコイア
現在、世界一の樹高を持つ木はセコイアの中でもハイペリオンと呼ばれる木です。
その高さは30階建てのビル相当、つまり115.92メートルほどとなります。
カリフォルニア州レッドウッド国立公園近辺に生息しているのですが、観光客が訪れることによって生態系を乱す恐れがあるため、正確な場所は明かされていません。
偶然見つけたら感動することでしょう!
カリフォルニア州レッドウッド国立公園(正式名称:レッドウッド国立及び州立公園)
カリフォルニア州最北端に位置するレッドウッド国立公園は、ユネスコの世界遺産に登録されている425平方キロメートル(東京ドーム9100個分)の公園です。
一年を通して多湿な土地の気候が生息に適しており、世界で唯一のセコイア原生地となっています。
樹齢は400~1300年ほどが多く(最高樹齢は2200年)、樹高世界ランキング上位のセコイアがこの近辺に生息しています。
樹高の世界ランキング上位はほぼセコイア
樹高の世界ランキング上位は、ほぼセコイアが占めています。
1位:ハイペリオン(115.92m)
2位:ヘリオス(114.58m)
3位:イカルス(113.14m)
4位:ストラトスフィア・ジャイアント(113.11m)
5位:ナショナル・ジオグラフィック・ソサエティ(112.71m)
全て、レッドウッド国立公園やカリフォルニア州最北部の海岸沿いを探索し発見された木であり、いずれも場所は明らかにされていません。
数年後はもっと高くなっているかもしれませんね。
樹齢は千年以上も!
セコイアは、なぜこれほど長生きするのでしょうか?
長生きの秘訣は火に強い?
30センチほどの分厚い樹皮は、山火事が起こっても焦げる程度で内部を守ることに役立ちます。
また内部には、水分と火に強いタンニン類を多く含んでいることから燃え尽きることもありません。
そして、火事で他の木が燃え尽きてしまった場所に、火事の熱によって撒かれた種子が根付き成長していくのです。
セコイアの純林(一種類の樹木からなる森林)は、度重なる山火事によって生命を繋いできたといっていいでしょう。
同種にはメタセコイアも
同種には、メタセコイア(和名はアケボノスギ、イチイヒノキ)という落葉樹もあります。
生長すると高さ25~30mほどになり、葉は秋に紅葉したあと落葉する落葉樹です。
1946年までは絶滅種と考えられていましたが、現在では、街路樹や公園などで見られる身近な樹木です。
化石で有名なメタセコイア
かつて、メタセコイアの化石は日本各地を含める北半球に広く分布していました。
1939年、日本の関西地方で発見されたセコイアに似た樹木の化石にメタセコイア(メタは「のちの、変わった」という意味)と名付け学会へ発表しました。
当時は、この木は100万年前に絶滅し地球上には存在していないと考えられていました。
中国で生きたメタセコイアが発見された
絶滅種と考えられていたメタセコイアですが、1946年に中国四川省(現:湖北省利川市)で生きたメタセコイアが発見されました。
その後、アメリカで苗木が殖やされ日本に100本贈られました。
このことから、メタセコイアは「生きている化石」と呼ばれています。
「セコイア」という名前の由来
セコイアという名前はネイティブアメリカンが由来しています。
賢人シクウォイア
1821年頃、北アメリカの先住民族チェロキー族の酋長の孫にあたり、独力でチェロキー文字を発明した指導者シクウォイア(Sequoyah)にちなんでセコイア(Sequoia)と命名されました。
当時のセコイアは、ネイティブアメリカン達が家を建てるときになくてはならない木材でもあり、彼らはこの木を崇拝していたと伝わっています。
トーテムポールの材料
トーテムポールは屋内から屋根を支えるための、彫刻された家の柱です。
北アメリカに住む北西沿岸ネイティブアメリカンの多くがトーテムポールを彫刻し所有していました。
その使用目的から、頑丈な木材であるセコイアは非常に利用価値が高いものだったのです。
まとめ
世界最大の木とされる「セコイア」。
数千年にわたり成長し続けれるのは、非常に分厚い皮を有していることとタンニンという成分を有していることにあるとされています。
分厚い樹皮は火事にも耐えれる強さにもなっているのだとか。