ヤドカリが貝を背負っている理由、それは中身の体を守るためだった!

2023-05-22 21:30

ヤドカリと言えば、貝殻を背負って海岸を歩いている様子が可愛らしい生き物です。
ところで、ヤドカリはなぜ貝殻を背負っているのでしょうか?

そこでここでは、ヤドカリの生態や貝殻を背負っている理由について解説します。

ヤドカリとは

まずはヤドカリがどんな生き物かを見ていきましょう。

ヤドカリの活動場所は海岸から深海まで

ヤドカリの生息範囲は非常に広いです。
海岸を移動するときもあれば、数百メートルの水深にまで及びます。

適応力に優れた生き物ということになります。

ただし、これは一種のヤドカリが海岸から深海にまで生息しているという事ではありません。
種類によって海岸や河口と海の間にある河口域、岩礁に波打ち際、そして海底と棲み分けがされています。

ヤドカリは長寿

ヤドカリは長寿の生き物でもあります。
平均的な寿命で見ると、大体5~15年ほどですが、種類や個体により差があります。

長寿のヤドカリになると、25年生きた個体や40年も生きた個体もあるのだとか。
ただ、ペットショップで購入したものは寿命が短いかもしれません。

狭い容器で生活していると数ヵ月程度で死んでしまう場合もあるので注意しましょう。

ヤドカリの食事

ヤドカリは、基本的に雑食性の生き物です。
小さな虫くらいなら食べてしまいます。

ヤドカリは栄養価の高い食事が必要で、特にカルシウムだとかを必要としているのだとか。
もしペットとしてヤドカリを飼育したいと思っているのであれば、肉や野菜、フルーツなどを食べさせてあげるといいでしょう。

好き嫌いはないので、何でも食べてくれますよ。

ヤドカリはおいしい?!

ヤドカリを食べるイメージはあまりないかもしれませんね。
しかし、一部の地域では食用にされることがあります。

神奈川県の三浦半島の南端にある城ケ島では、ヤドカリの中でも比較的柔らかい腹部を食します。
そのまま刺身にしたり、焼いたり、みそ汁にしたりと調理方法は様々です。
ちなみに、この地域では「アマガニ」と呼ぶこともあります。

これはヤドカリを食べた後に水を飲むと、甘く感じられることから名付けられました。

ヤドカリが貝を背負う理由

ヤドカリというと貝を背負っているイメージがありませんか?

これにはきちんとした理由があります。
ここからはなぜヤドカリが貝を背負うのか、その理由についてご紹介しましょう。

ヤドカリの体は柔らかい

ヤドカリの体というのは、かなり柔らかいです。
特に腹部はちょっとした衝撃にも耐えられないレベルです。
この柔らかい体を守るためには、なにか外部に要素を求める必要があります。

一方で、この柔らかさがあるからこそ貝の中に体を入れられるという特性もあります。
貝の固い殻で、柔らかい腹部というウィークポイントを守るために、ヤドカリは貝を背負っています。

貝に身を潜らせれば鉄壁!

ヤドカリの腹部は柔らかいので、防御向きの体をしていないといえます。
それでも生息できるのは、背負っている貝のおかげなのです。

巻貝の主が死んで空になったものを見つけて、潜り込みます。
そして頑丈な殻が一種の盾になって、守られながら生きています。

もし外敵に襲われそうになったら、硬い甲羅の中に閉じこもり、貝の入り口を数少ない硬い部位のハサミでふさぎます。
そうすれば貝は、鉄壁のシェルターとなってヤドカリを外敵から守ってくれます。

成長のたびに引っ越しするヤドカリ

ヤドカリも成長すれば、もちろん体が大きくなります。
せっかく見つけた貝殻も、いずれきつくなってしまうので、自分の現在の体のサイズにあった貝に引っ越します。

そして使い終わった貝殻はそのまま残しているので、別のヤドカリが住み着くこともありますよ。
ちなみに、成長しきっても定期的に引っ越しは行われます。

同じところに住み続けていると、殻も傷みますよね。
そうなると、別の新しい貝を見つけて引っ越しする必要があるというわけです。

種類によって背負うものが変わる

ヤドカリは、巻貝の殻を背負うイメージがあるかもしれません。
しかし種類によっては、背負う貝が異なる場合もあるようです。

例えば、ツノガイヤドカリの場合は名前の通り、ツノガイの殻を使用します。
さらにカイガラカツギは、二枚貝の殻の中で生活しています。

またヤッコヤドカリは死んだサンゴの中、カンザシヤドカリは生きたサンゴの穴に潜り込みます。
中にはペットボトルのふたなどを巻貝に見立てて代用するヤドカリなども見られるそうです。

ヤドカリはイソギンチャクと仲良し

ヤドカリの種類の多くは、イソギンチャクと共生しています。
この両者は、Win-Winの関係を作っています。

イソギンチャクにとってヤドカリと共生するメリットは、砂泥底で生息できるという点です。
砂泥底の地帯には、イソギンチャクの体の下にある吸盤を付ける岩などの基盤がないので、本来イソギンチャクは定着できません。

しかし、ヤドカリとコンビを組むことで、より広範囲で生息できるようになるのです。

対してヤドカリにとっても、イソギンチャクは欠かせない存在です。
ヤドカリの天敵としてタコがあげられるのですが、イソギンチャクと一緒にいれば、その刺胞でタコなどの攻撃から身を守れるのですます。

イソギンチャクにとっては新しい拠点へ移動させてくれる足であり、ヤドカリにとっては天敵から身を守るボディーガードとお互いに欠かせない存在なんですね。

実はタラバガニもヤドカリの仲間

冬場はカニ料理がおいしい季節ですよね。
中でも、タラバガニは日本人の間で高い人気を誇ります。

しかしこのタラバガニ、実はカニの仲間ではなくヤドカリの一種なのです!

北海道以北に生息するタラバガニ

タラバガニは、北方で生息しています。
日本では、北海道周辺の日本海やオホーツク海などで活動しています。

ちなみに海外に目を向けると、ロシアのカムチャツカ半島周辺やアラスカ沿岸などに生息していますよ。
北海道周辺では水深350mあたりの砂泥底で生息していることが多いですね。

タラバガニとヤドカリの共通点

タラバガニを生物学上で分類すると、エビ目・ヤドカリ下目・タラバガニ属になります。
ここからも、ヤドカリの仲間であることがわかりますよね。

また、生態的に見てもヤドカリと共通する部分がいくつかあります。

カニの場合、いわゆるカニ歩きといわれる横歩きが一般的です。
しかしタラバガニは、ヤドカリと同じように横だけでなく縦にも歩くことができます。

ヤドカリは、貝殻の中に入って生活することはすでに紹介した通りですね。
スムーズに貝殻に入れるように腹部が柔らかく、かつ右方向にねじれています。

タラバガニのメスにも同じような特徴があり、腹部が右側にねじれています。

まとめ

ヤドカリが貝殻を背負っているのは、弱い腹部を守るためです。
そして、成長や貝殻の破損状況に応じて引っ越しを繰り返していきます。

共生関係にある生き物としては、イソギンチャクが挙げられます。
イソギンチャクにとってヤドカリは足になってくれる存在、ヤドカリにとってイソギンチャクはボディーガード的存在となります。

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