森永卓郎さんの「フェイク音声」も… 株価4万円超や新NISA、高まる“投資熱”の裏で手口が巧妙化 有名人をかたる投資詐欺【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-03-05 15:03

「新NISA」や連日の株高で“投資熱”が高まるなか、注意が必要なのが、有名人の名前や写真を無断で使い投資を誘うニセの広告です。「フェイク音声」まで使って、カネをだまし取ろうとする巧妙な手口とは。

【写真を見る】森永卓郎さんの「フェイク音声」も… 株価4万円超や新NISA、高まる“投資熱”の裏で手口が巧妙化 有名人をかたる投資詐欺【news23】

1900万円だまし取られた被害者も…

インターネット上に並ぶ、有名人の名前や写真を無断で使用し、投資を勧めるニセ広告。

池上彰氏の写真を使い…

「今すぐに買え!2024年 100倍」
「池上彰氏が推奨する優良株」

また森永卓郎氏の写真を使った広告も…

「私の株式投資の経験と投資スキルを無料で提供します」

喜入友浩キャスター:
「インターネットで『上がる』『株』と検索すると、堀江貴文さんの名前が出てきました。さらに森永卓郎さんの名前も」

今、こうした広告を入口に、お金をだまし取られる人が急増しています。

投資詐欺の被害男性
「フェイスブックで、『上がる株を教えます』という堀江貴文さんの広告を見ました」

喜入キャスター
「いくら入金されたんでしょうか?」

投資詐欺の被害男性
「トータルで1900万円です」

警察庁によると、2023年1年間の“投資詐欺”全体の被害は、前の年より10倍以上増え、約51億円となっています。

東京投資被害弁護士研究会 葛田勲 弁護士
「景気があまりよくならないこと、そして、政府自体が貯蓄から運用へということを国策として進めている面もありますので、“この流れに乗らなければ損をしてしまう”とか、“少しでも得をしたい”とかいう気持ちを、逆手に取られるということもあると思います」

森永卓郎さんを名乗る人物から届く“音声メッセージ”…

どのような手口で、誘導していくのか…

喜入キャスター
「こうしたインターネット上の広告では、“LINEに登録すれば、株の情報を受け取れる”などと書いてあります。その中のひとつ、森永卓郎さんを名乗るアカウントに、登録してみようと思います」

私たちが接触したのは、「ミスターモリタク」という名前のアカウント。アイコンは森永卓郎さんの写真になっています。

私たちが「本人のアカウントですか?」と質問すると、「はい」と返信がありました。

その後、70人以上が参加するグループLINEに誘導され、そして、アシスタントのアカウントを紹介されました。

すると、アシスタントを名乗る人物からメッセージが…

急騰推奨株:「(実在する企業名)」
資金配分:15%の資金購入
購入価格:成り行き価格購入
予想収益:20%~30%
おすすめ指数:星5つ

広告の通り、実在する企業の株の情報が送られてきました。

一方、グループLINEの方では、ほぼ毎日、森永卓郎さんを名乗る人物から、株式市場の動向などがアドバイスされます。

こうした投稿に対し参加者は…

グループLINEの参加者
「先生は本当にすごいです。購入した後、直接22%を上昇しました」

グループLINEの参加者
「今では夢だった家の購入と民宿の開設も実現しました」

私たちがやりとりを続けると、参加者を信用させるためなのか、森永卓郎さんを名乗る人物から、“音声メッセージ”まで送られてきました。

“森永卓郎さんを名乗る人物”からの音声メッセージ
「みなさん、こんばんは。たくさんの新しい参加者がいますね。ここでひとつ、ご説明いたします。これから、私はグループでみなさんの投資スキルを指導します。わからないことがあれば、いつでも私やアシスタントに相談してください。少しでも参考になれば幸いです」

喜入キャスター
「声質は森永卓郎さんに近いんですけど、少しカタコトな日本語で、音声メッセージが流れました」

森永卓郎さんは闘病中のため、息子で、経済アナリストの森永康平さんに、話を聞きました。

森永康平さん
「声質だけでみたら、僕が聞いても父親だって思うぐらい完璧。ウチの父親にも聞かせましたけど、『ちょっと自分を知っているぐらいの人だったら、だまされるんじゃないか』と言っていました」

本人かたる人物から反論も…ビデオ通話できたという人も

森永康平さん自身も、こうしたニセ広告に、名前や写真を使われ、その被害を受けたという人から、毎日連絡が来ると話します。

森永康平さん
「私のところに来ている額だけでいっても、累計で2億ほどの被害額。父親のところは5億ぐらい

喜入キャスター
「こうした技術を使った詐欺についてはどう思う?」

森永康平さん
「私が被害報告を受けたケースですと、(被害者が)偽の森永康平とやりとりしていて、LINEのビデオ通話をさせてくださいというふうに送ったら、『いいですよ』と返信が来て、実際にビデオ通話できたそうです。いわゆる“ディープフェイク”というやつ」

最新技術以外にも、信じ込ませるために、こんな手口が。

先月、森永卓郎さんがラジオで入院することを報告した際…

アシスタントを名乗る人物からメッセージ
「本日、森永先生は、麻酔手術で結石を取り除く必要があります。そのために、講義を行うことができません」

喜入キャスター
「実際の入院に合わせて、手術を行うというメッセージをリンクさせてくる。こういったことに関して、どう思う?」

森永康平さん
「人をだますためであれば最新技術も使うし、その人のことを調べて、本人っぽくする。父親の病気を、ある意味ネタにして、投資詐欺をやってる方がいるのは、あまりにもひどいと、怒りを覚えます」

グループLINEでは、詐欺を疑う人が現れましたが、森永卓郎さんを名乗る人物が、反論する場面もありました。

“森永卓郎さんを名乗る人物”からのメッセージ
「最近、投資の名目で、私の名前を利用して、違法行為を行っている人がたくさんいます」
「私は政府の要請に従って、ソーシャルメディア上のデマに反論することしかできません」

あの手この手を使って、参加者を信じ込ませ、その後、別の投資に誘導する…そうしたケースが多いといいます。

森永康平さん
「電気自動車のプロジェクトがあって、そこに投資すれば、『資産が倍になる』というおいしい話を持ち掛けられ、指定された口座番号にお金を振り込むと、連絡が取れなくなっておしまい、というケースがいちばん多いです」

喜入キャスター
「私たちは、この“森永卓郎さんを名乗るアカウント”に、『TBSテレビ報道局の者です。ご本人でしょうか?』とメッセージを送りましたが、1日経っても既読になりません」

LINE通話も試みましたが、出ませんでした。

巧妙なアプリまでつくり、入金させる手口

藤森祥平キャスター:
身近なSNSに忍び寄る詐欺。フェイク音声まで使うとは、びっくりです。

喜入友浩キャスター:
私も、かなり強い危機感を持っています。ここまで、相手を信じ込ませるための詐欺の手口を紹介しましたが、その先、どのようにお金をだまし取るのかを見ていきます。

まずLINEから、金やFX取引の専用アプリへと誘導し、ダウンロードさせます。
このアプリでは、画面に、実際に値上がりしているように見えるグラフだったり、数字だったりが表示されています。

そして、アプリ上で入金を求めます。ただ、出金はできないようになっている。
つまり入金したお金は戻らずに、奪われるという仕組みになっています。

小川彩佳キャスター:
そのアプリに、怪しげなところはないんですか?

喜入キャスター:
実際にダウンロードしてみたが、精巧な作りでしっかりしている。

時事芸人 プチ鹿島さん:
昔からこういうものはあるのでしょうが、巧みに今の時代の空気を取り入れていますよね。政府自体が、貯蓄から投資へ、と言って、新NISAを用意するなど推奨している。そのメッセージの裏には、老後資金は、年金に頼るのではなく、自分たちで頑張ってくれよな、というものを感じ取れるので、“何かやった方がいいのかな”って、僕もそわそわしちゃう。悪いことを考える人にとっては、今がいちばんのチャンスとも言える。

小川キャスター:
喜入さんは、実際にLINEのやり取りをしましたが、何かおかしい点などはなかったんですか?

喜入キャスター:
よく見ると、“おや?”という点がいくつかありました。

例えば、LINEグループのメンバーは79人いるんですが、一覧を見てみると、森永卓郎さんを名乗るアカウントが、5つもある。写真も全部、森永さん。

他にも、メッセージの漢字をよく見ると、日本の表記では、あまり見ない漢字がある。

東京投資被害弁護士研究会の葛田勲 弁護士は、「犯罪が国内だけでなく、海外で行われている可能性が高い。お金の流れの追跡が極めて難しい」と話しています。

星浩 TBSスペシャルコメンテーター:
海外での犯罪の場合、その国が、捜査協力をしてくれるかどうかという問題があって、東南アジアの一部とか、韓国とかは捜査協力してくれるが、そんなに多くはない。なかなか捜査を一緒にやってくれませんし、日本から捜査員を入れるのも難しい。犯行に使われる銀行口座から捜査していくという方法もあるが、最近は、頻繁に銀行口座が変わってしまうので、捜査が追いつかない。捜査が、犯行よりも遅れている状況になってしまっている。

喜入キャスター:
しかも、若い人の被害も出ているという状況です。
手口は巧妙なので、何に注意すればいいのか。
森永卓郎さんの息子で、経済アナリストの森永康平さんは、「粗探しをする前に、いつの時代も、“必ず儲かる”とか、“絶対に損しない”とかいう言葉は嘘で、こうしたワードに、きちんと気づくことが大事だ」とおっしゃっていました。

金融庁も相談窓口を設置しています。怪しいなと思っている人は、すぐに相談してください。

有名人の名前や写真で詐欺 広告見たことは?「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは『有名人の名前や写真で投資詐欺』などについて「みんなの声」を募集しました。

Q.有名人で投資誘う詐欺・広告を見たことある?

「見て関心を持った」…8.9%
「見たが関心を持たなかった」…37.4%
「見たことはない」…49.3%
「その他・わからない」…4.4%

※3月4日午後11時12分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは5日午前8時で終了しました

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