24日、関東では今年一番の暑さになり、熱中症の疑い患者が1都6県で160人搬送されました。この時期の「梅雨型熱中症」には注意が必要です。
【写真を見る】“日本一暑い街”埼玉・熊谷では猛暑対策アプリで暑さを可視化 涼しい場所への移動を快適に、夏の必需品「日傘」需要増で修理部門を新設【news23】
暑い場所”を確認できるアプリ登場 クールシェアスポットでは割引サービスも
24日、関東では梅雨の晴れ間となり、気温が急上昇。熱中症の疑いのある患者が続出し、1都6県で搬送された人は合わせて160人となりました。
栃木県佐野市では今年、全国最高の36.8度を観測。ほかにも全国914地点のうち、30度以上の真夏日となったのが226地点、35度以上の猛暑日は14地点となりました。
日本一暑い街として知られる埼玉県熊谷市では…
熊谷市民
「小さい頃から熊谷に住んでるので、暑さは大丈夫だろうと思ったんですけど、すごいきついです」
西アフリカ・セネガル出身
「(日本とセネガルはどちらが暑い?)日本です」
喜入友浩キャスター:
暑い街、熊谷市では、6月から暑さ対策として、スマートフォンで“暑い場所”を確認できるサービスが始まりました。
熊谷市のまち歩きアプリ「クマぶら」。熱がこもるヒートスポットが地図上に表示されるため、暑い場所を避けながら目的地に向かうことができるそうです。
喜入キャスター:
アプリで『比較的暑くない』と表示されている場所にいます。少し風が抜けて涼しいですね。
さらに涼むために休憩できるクールシェアスポットも表示されます。登録されている「御菓子司 三河屋」さんの店内はクーラーが効いていて、ひんやりとしています。こちらでは、熊谷名物のかき氷を楽しむことができますが、こんな特典も…
御菓子司 三河屋 石川雄太さん
「『クールシェアで来ました』と言っていただければ、50円お引きいたします」
日傘修理が急増 一方で“背負える日傘”「これ本当に欲しかった」
手軽に暑さをしのぐことができる日傘。一方でこんな悩みも…
「壊れちゃうので、長持ちするやつがいい」
「風が強い日と雨の日で壊れちゃって買い換えました。10本ぐらいは買って交換してるかも」
ミスターミニット 傘修理 責任者
「コンパクトで軽量化するために骨が複雑になったり、それによって壊れる確率が増えている」
靴やカバンの修理などを手がける「MISTER MINIT」。新たに傘修理専門の部署を立ち上げました。
ミスターミニット 広報担当 長嶺素義さん
「お客様の(傘修理の)問い合わせが年々増えた。ニーズの高まりの背景としては、日傘が大きいと思っています。今まで女性が持っているイメージでしたけど、男性も増えてきた」
使う人が増えれば、ニーズも増える。駅ナカなどの店舗は面積が小さく、傘を広げるスペースがないことも多いため、1か所に集めて修理することにしたといいます。
ミスターミニット 広報担当 長嶺さん
「予想よりは入荷が多いです。捨てる一択ではなくて、直すという選択肢を入れていただけるといいなと思います」
少し変わった日傘も登場しています。
サンコー 﨏晋介 広報部長
「リュックサックのように、ベルトが2個ありますので、このベルトを肩に掛けます。ハンズフリーで日傘になる“背負える日傘”になります」
中国の企業が製造したものに改良を加えて輸入した「ハンズフリー背負える日傘」(税込1万2800円)は6月から販売を開始したといいます。
サンコー 﨏 広報部長
「結構軽い。1キロを切っています。個人で農作業をやられる方や、仕事で屋外で作業する方から『本当に、これが欲しかった』という声はいただいています」
日傘などの備えは進む一方、やはり懸念されるのが熱中症です。熊谷市にある埼玉慈恵病院には24日午後、女性2人(20・40代)が熱中症の疑いで搬送されました。
対応した医師は、この時期の“梅雨型熱中症”に注意が必要だといいます。
埼玉慈恵病院 藤永剛医師
「“梅雨型熱中症”の場合は、炎天下でものすごい高温度ではなくても、湿度が高ければ同じように熱中症を起こしてしまう。この時期特有の湿度があるために汗が乾きにくくて、体の中に熱がこもりやすくなってしまう」
「(防ぐには)やっぱり暑さに慣れる。それこそ梅雨時、雨が降っていたら、お家の中でスクワット、筋トレをしてもいい。とにかく自分で自発的に意識をして汗をかくことが必要になります」
世界各地で猛暑ナゼ? 日本の夏は?
小川彩佳キャスター:
日本だけではなく、世界各地で猛暑に見舞われています。
國本未華 気象予報士:
世界各地で異変が起きているのですが、その原因が上空の風にありそうです。サウジアラビアからインドにかけて、冷たい空気と暖かい空気の間を通る風=偏西風が大きく蛇行しているのですが、偏西風は大きく蛇行すればするほど、蛇行した部分に熱い空気がたまりやすく、サウジアラビアからインド周辺、また日本も影響を受けて平年よりも暑い空気が入っているという状況です。
小川キャスター:
この状況はまだしばらく続くのでしょうか。
國本気象予報士:
そうですね。大きな蛇行は数日程度で解消はしません。インド洋やアラビア海が平年よりも水温が高いため、熱い空気が留まりやすい状態になっています。
気象庁は24日、「高温に関する早期天候情報(平均気温) 期間:6月30日~7月8日」を発表しました。『全国的にかなりの高温』が予想されるといいます。
梅雨入り早々の時期は、太平洋側に前線が停滞するものなのですが、今年の場合は、週末(6月29、30日ころ)に前線が一気にジャンプするように、北陸に前線がかかる見込みです。
前線の南側は蒸し暑い空気が充満していきますので、例年以上に蒸し暑さに警戒してください。
次の暑さのピークは30日頃から、全国各地で30度以上になるでしょう。
小川キャスター:
まだ6月ですが、すでに危険な暑さです。世界各地でも異常気象となっていますね。
ドイツ公共放送東京支局 マライ・メントラインさん:
日本では、環境問題や気候変動の対策について、政治的な議論があまりされていないように思います。電車に乗るとSDGsバッジをつけている方を見かけますが、関心が高まっているかというとそうでもない。もっと目を向けてほしいですね。
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<プロフィール>
マライ・メントライン さん
ドイツ出身
2008年から日本在住
ドイツ公共放送東京支局 プロデューサー