本の返却ボックスに凍えた子猫が…!19年間人々を魅了し続けた、史上最高の「図書館猫」 米国

2024-07-03 06:00

米国の小さな町の図書館に暮らし、人々とふれあい、愛情を与え続けた猫がいます。この猫には自分を必要とする人を見分け、その心をなぐさめる特別の能力がありました。虹の橋を渡ったあとでも、人々は猫のことを忘れません。

凍死寸前の猫を発見

箱の中の子猫

画像はイメージです

米国アイオワ州にある小さな図書館で、19年間たくさんの人々を魅了し続けてきた猫「Dewey」をご存じですか?

1988年1月18日の寒い早朝、Spencer公立図書館の館長Vicki Myronさんは、本の返却ボックスを確認するため、館外に出ました。ここ数年ボックスの中には石やゴミ、爆竹など「変なもの」を入れられていたので、多少のことには驚かない彼女も、その朝はびっくりしました。

なんと、金属製の冷たいボックスの中で、本に埋もれて子猫が震えていたのでした。

「子猫はやせて骨と皮の状態でした。頭も持ち上げられないほど衰弱しており、体は冷え切っていました。でも子猫が小さな目でわたしを見上げたとき、すっかり信頼されていることがわかりましたね」

図書館の理事会と市議会が協議した結果、図書館内でこの子猫を飼うことが許されました。10日間にわたる治療とマッサージ、入浴を繰り返し、子猫は命を吹き返したのです。

さっそく「Dewey Readmore Books」というりっぱな名前をつけてもらいました。大部分の図書館で検索システムとして利用されている「Dewey10進法」にちなむものです。

人々に愛情を注ぐ猫

読書する男性の横に座る猫

画像はイメージです

Deweyは来館者にすぐに慣れ、小さな彫像のように入り口に立って人々を出迎えたり、本棚の隙間に頭を突っ込んだり、猫を抱きたい多くの人々の膝に飛び乗って丸くなったりして過ごしていました。

図書館に住み着いた多くの猫と違って、Deweyはネズミ捕りには熱心ではありませんでした。むしろネズミを怖がっていたのです。しかしこの猫の存在意義は別のところにあります。「必要とする人に愛を注ぐ」という大事な仕事を担っていたのです。

こわもての強そうな男性たちが受付にやってくると、Deweyは近づいていって鼻先を摺り寄せました。寂しそうなお年寄がいると、足にスリスリしてきます。毎日多くの子供たちが猫を取り合ってケンカをするほどでしたが、Deweyは誰にでも公平に接していました。

「絵本の読み聞かせ」の時間になると、その日集まってきた子供たちの中で居眠りを始めた子のそばに寄っていきました。

世界中にファンをもつ人気者に

図書館で女性に抱かれる猫

画像はイメージです

2年もたつと、Deweyは地元のセレブになりました。図書館来館者数は以前の2倍の10万人になり、これまで職員がお金を出し合ってきた餌代も、一般からじゅうぶんな寄付が集まるようになったのです。

さらに、この猫の評判は全米、全世界へと広がっていきました。短編映画の主役に抜擢され最優秀作品賞をもらったり、テレビや新聞からのインタビューが殺到したり…しかし、そんな忙しい毎日でも、Deweyは図書館での仕事を着実にこなしたのです。

台湾やオーストラリア、ノルウェー、南アフリカなど、世界中からDewey宛にファンレターが届きました。週末になると全米各地からわざわざこの猫をたずねてくる人が殺到し、何とかDeweyの頭をなでようと近づいてきます。

そこで図書館ではDeweyの写真を絵ハガキにして売り出したところ、月に数百ドルの売り上げが入ってくるようになったのです。もう餌代を人々の寄付に頼る必要はありませんでした。

人々の心に生きるDewey

顔を寄せて本を読む少年と猫

画像はイメージです

12歳になったころから、Deweyの体は衰弱してきました。左足付け根の関節には炎症があって痛み、来館者と遊ぶときも、こわごわと足を動かすようになりました。

2006年に19歳の誕生日を迎えたとき、獣医はこの猫の胃に大きな腫瘍があり、手術もできない状態だと診断しました。

そして11月29日、職員みんなに見守られながら、Deweyは安らかな眠りにつきました。全米の新聞270紙がこの猫をしのんで死亡記事を掲載し、数千通ものおくやみメールが殺到したのです。遺灰は、この猫が大好きだった図書館の敷地に撒かれました。

Deweyの功績は、これからも決して忘れられることはありません。自分を必要としている人を瞬時に見抜き、積極的に近づいていって愛情を注ぎ、心のなぐさめを与えてくれた特別な猫なのです。

この猫がかつてよく座っていた入り口のそばには猫の銅像が立てられ、今でも訪問者を出迎えています。その銅像をなでるためだけに、ファンが遠くから訪ねてくることもあります。

図書館にやってくる人々を愛した偉大な猫は、これからも人々の記憶に残ることでしょう。

出典:The World’s Most Famous Library Cat

関連記事

『ハグしながら一緒に寝る猫たち』をコッソリ撮影したら…破壊力抜群の"スキンシップ"が103万再生「可愛すぎる!」「ハグされたい…」
『瀕死の状態だった猫』を保護した結果…1年が経過した『現在の姿』が98万再生の大反響「助からんと思うくらいだったのに」「涙が…」
猫が幸せを感じた時にみせる10の仕草
猫3匹同時に『お手』をさせてみた結果…突然"予想外の小競り合い"が勃発してしまう光景が面白すぎると話題に
猫が嬉しい!と感じている時の4つの仕草

  1. オイルマッサージ施術中20代女性にわいせつ行為か セラピストの男(30)を再逮捕 余罪複数とみて警視庁が捜査
  2. 酒気帯び運転で歩行者はねた疑いで男(54)を現行犯逮捕 歩行者の男性は頭を強く打ち死亡 茨城県警
  3. JA全農 臨時の「おこめ券」を1月中旬めどに発行へ
  4. 神奈川県綾瀬市の工場で火事 10棟以上が焼け発生からおよそ5時間後にほぼ消し止められる 警察が出火原因を調査
  5. 皇居・東御苑の入園者 4000万人到達 都内在住の主婦(50)に記念品「たまたま近くで用事があって…」 宮内庁
  6. 【速報】千葉・館山市で山林火災 1時間半後に鎮圧
  7. 関東で火災相次ぐ 東京・あきる野市で2人死亡の住宅火災 神奈川・綾瀬市では大規模な工場火災で9棟燃える
  8. 犯行後に「僕も男でやめられなかった」と言い立ち去る 図書館で勉強中の女子中学生の体を約30分間触った疑い 会社員の男(50)を逮捕 東京・江東区 警視庁
  9. 【速報】補正予算案が本会議で可決 衆議院を通過 与党のほか国民民主党と公明党が賛成“提案反映されている”と評価
  10. 【 片岡凜 】 読書の魅力を綴る 「一冊の本との出会いが進路を変えたり 悩みを解決したり 一生の趣味になったりすることもあります」
  11. 「再審制度」めぐる法制審議会の議論に犯罪被害者遺族が平口法務大臣に要望書提出「再審が行われやすくなれば『4審制以上』になり、いつまでも裁判が終わらなくなる」
  12. 【 永野 】永尾柚乃ちゃんと全力ラッセン披露「今後ショッピングモール行けたら」2人での営業に夢膨らませる