現職の小池百合子氏が291万票を獲得し、3回目の当選を決めた東京都知事選挙。石丸伸二氏が巧みなSNS戦略で2位に躍進し、与野党にはショックが広がっています。
【写真を見る】東京都知事選小池氏3選 石丸氏“SNS戦略”で2位躍進 都議補選では自民2勝6敗で惨敗 党内から「自民党の看板では戦えない」【news23】
小池氏圧勝 共産党都議から“お願い” 2位石丸氏 3位蓮舫氏
8日午後、約200人の都庁の職員に迎えられた小池百合子氏。
小池百合子氏
「昨日…投票日…ありがとうございます。拍手に迎えられて本当にありがとうございます。『3期目任せるよ』『より改革を進めろよ』という都民の皆さま方のお声、しっかり受け止めてまいりたいと思います」
鳴り止まない拍手の中、小池氏が向かったのは、都議会議員の控え室。都民ファーストの会の議員らとグータッチで喜びを分かち合う一方、蓮舫氏を支援した共産党の控え室では…
共産党都議
「3期目は知事、大いに議論しましょうね」
小池百合子氏
「ありがとうございます」
共産党都議
「指名したら答弁してくださいね」
小池百合子氏
「都として答えます」
共産党都議
「いやいや答弁…」
石丸氏“SNS戦略”で2位躍進 蓮舫氏「力不足」
小池氏に次ぐ約166万票を獲得したのは、広島県安芸高田市の前市長、石丸伸二氏。
広島・安芸高田市前市長・石丸伸二氏
「胸を張って、できることは全部やったと言い切れます」
無党派層の約4割の支持を得て、「2位」に躍進しました。
――手応えは？
石丸伸二氏
「手応え？何について？拍手について？」
――出口調査の結果、今の段階で2番手ということの手応えは？
石丸伸二氏
「先ほど申し上げた通りです。都民の総意があらわれた。それだけです」
今回「無所属」で挑んだ石丸氏。
石丸伸二氏
「LINEのお友達、上から順に送ってください。みなさんが気に入っている石丸伸二の動画を」
巧みな“SNS戦略”を通じ、10代や20代を中心に支持を広げました。
30代男性
「もともとは安芸高田市のYouTubeで知って、良い意味で政治家っぽくないというか」
選挙期間中、YouTubeにおける石丸氏の検索回数はほかの候補を大きく上回りました。
――国政にもという思いは？
石丸伸二氏
「選択肢としては当然考えます。例えば広島1区。岸田首相の選挙区ですね」
――今回及ばなかった要因をどう考えるか？
石丸伸二氏
「NHKをはじめマスメディアが当初、全く扱わなかった。そういうところ」
一方で、石丸氏に37万票以上の差をつけられ、「3位」に沈んだ前参院議員の蓮舫氏。
前参院議員・蓮舫氏
「私の力不足、そこに尽きると思います。まだ完全にピリオドを打てている気持ちでないので、もう少し考えたい」
過去最多の56人が立候補した都知事選。投票率は前回を5.62ポイント上回る、60.62％となりました。
小池氏圧勝となった結果に、岸田総理は…
岸田総理
「小池知事が政府とも連携しながら、取り組んできた様々な取り組みが評価をされたものであると」
都議補選 自民2勝6敗で惨敗 新総裁求める声
一方、自民党に大きなダメージとなったのが…
自民党・萩生田光一前政調会長
「自民党が憎ければ、都議候補まで憎い。これは私は八王子のためにならないと思います」
7日に投開票された、東京都議会の補欠選挙です。
自民党・萩生田光一前政調会長
「逆風の原因を作った1人として、改めて市民の皆さんにご心配をおかけしたこと、お詫びを申し上げたいと思います」
連日、党幹部らが応援に駆けつけ、 “派閥の裏金問題”について謝罪するなど補選に力を入れていましたが、結果は、2勝6敗。選挙前の5議席を大きく下回りました。
自民党 中堅議員
「自民党の看板では戦えないことが明らかになったよね。競り負けたところは裏金問題がなければ勝てたはずだ」
都議補選は、次の衆院選の勝敗を占うとの見方も出ていただけに、自民党内では9月に予定される総裁選挙で新しい顔を求める声が出ています。
小池氏“圧勝” 石丸氏2位躍進の背景
藤森祥平キャスター:
東京都知事選は、現職の小池百合子氏が圧勝という形になりました。そして2位に食い込んだのが石丸伸二氏でした。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
小池氏は自民党と公明党の支援を受けたのですが、あまり表には出さずに組織をうまく取り込むという形に徹底しました。
一方、蓮舫氏は議員時代からの“攻撃力”はあるのですが、共産党が支援したということもあり、中間層がなかなか集まらなかった。無党派層をなかなか取り込めなかったという事情がありました。
藤森キャスター:
そして、その2人の間に入ったのが石丸氏でした。
星浩さん:
石丸氏は、改革志向を打ち出して、SNSを駆使しました。SNSを見て、今まであまり投票に行かなかった人が投票に行ったのが新しい現象だと思います。
藤森キャスター:
JNNの出口調査による年代別の投票先を見ると、10代・20代・30代が石丸氏の支持が多かったことがわかります。
星浩さん:
特に東京は全国的にも無党派層が多い所です。金融系・IT系・外資系などのビジネスパーソンの人たちが無党派で選挙の度に支持政党を変えるのですが、この人たちを取り込むことに成功しました。ただ、改革を打ち出したのですが、中身は総論が多く、どこをどのように変えるかが明確ではありませんでした。
また、以前の日本維新の会は、拠点を大阪に置き、橋下徹氏を含めてチームでやっていました。組織力を比べると、石丸氏の旋風はありましたが、全国的に広がるという勢いではまだ無いと思います。
都議補選 自民“惨敗”の影響は？「岸田降ろし」加速か
藤森キャスター:
東京都議会の補欠選挙も同時に行われましたが、自民党は8つの選挙区で2勝6敗と大きく負けました。
星浩さん:
都議補選は各党が公認候補で争っているため、それぞれの実力が出ます。
八王子市は萩生田氏の地元ですが、自民党候補が敗れました。
また、足立区は公明党や自民党が強い所ですが、今回は自民党と立憲民主党の候補が一騎打ちになり、最終的には立憲民主党の候補が競り勝ちました。以前、島根で行われた補欠選挙のような現象が再現されたと言ってもいいと思います。
2勝6敗という数字を見ると、自民党の国会議員の多くは、“今の岸田総理のもとでの解散総選挙はとても戦えない”と考えます。今回の補欠選挙の結果は、9月の総裁選挙に影響してくると思います。
藤森キャスター:
党内の動きもますます活発になりそうです。
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＜プロフィール＞
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年
