EU=ヨーロッパ連合の執行機関EU委員会は、中国から輸入される電気自動車に上乗せする関税について、暫定的に適用していた税率よりわずかに低い、最大36.3%とする最終案を発表しました。
EU委員会は、ヨーロッパで輸入が急増する中国製電気自動車について、「中国政府から不当な補助金を受け、域内の生産者の脅威になっている」として、先月から、これまでの10%に最大37.6%の関税を暫定的に上乗せしてきました。
その後の企業側からの反論などを踏まえ、EU委員会は20日、上乗せする関税をわずかに下方修正し、最大で36.3%とする最終案を公表しました。
一方、アメリカの電気自動車メーカー「テスラ」の中国の工場から輸出される電気自動車については「中国政府から受ける補助金の水準が異なっている」として、ほかのメーカーより低い水準の9%を上乗せするとしています。
今後、さらなる意見聴取やEU加盟国による投票などを経て、10月末までに最終決定するとしています。
これを受けて、中国外務省の報道官は21日の会見で強く反発しました。
中国外務省 毛寧報道官
「今回の調査は典型的な保護主義と政治主導のもと行われたもので、客観的事実を顧みずWTOの規則を無視し、歴史的流れに背いてEUのグリーンモデルチェンジやグローバル気候変動対応の努力を損なっている」
また、中国商務省は、EU産のチーズなどの乳製品について、不当に安く中国に輸入され、業界に損害を与えていないか調べる「反ダンピング調査」を開始したと発表しました。EUによる、中国製EVへの追加関税最終案に対する対抗措置とみられます。
中国政府は、EU産の豚肉についても反ダンピング調査を開始していて、中国とEUの間で対立が深まりつつあります。