日本の農林水産物を海外へ。政府が輸出拡大を目指すなか、海外のバイヤーも集まる国内最大規模の商談会が開かれました。
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農林水産物を売り込め! 最大級の商談会
鹿児島県産の高級黒毛和牛に、色とりどりの新鮮な野菜。そして、今が旬のシャインマスカットやすいかまで。
きょうから始まった日本の農林水産物や食品を売り込む国内最大級の商談会。去年より100以上も多い、588の出展者が全国から集まりました。なかには、被災地・能登からも。
能登牧場 平林将 専務取締役
「石川県にもっと来てもらいたい、石川県の食材をもっと知ってもらいたい。被災された皆さんを勇気づけたいという思いもある」
一方、出展者がアピールするのは、国内向けだけではありません。
ノルウェーから来たバイヤー
「ビューティフル、美味しい。日本の食材は世界中で人気です」
会場には海外のバイヤーたちの姿も。
日本の調味料会社
「だし醤油、だしソイソース、ヌードルスープ」
フランスから来たバイヤー
「鰹節は入っている?」
日本の調味料会社
「鰹節入ってます」
フランスから来たこちらの男性は調味料や農林水産物に興味があるといいますが、長年、日本から米を輸入してきました。
フランスから来たバイヤー
「今回、来日した目的は良質な米を見つけることです。(日本米は)食感・味・甘みなど食べ応えがあって、とてもユニークです」
日本の農林水産物を売り込めとばかりに、政府は輸出額について、2030年までに5兆円とする目標を掲げています。
こちらの生産者も…
斎藤農場 斎藤崇博 社長
「海外にも出してみたいとずっと思っていて、(海外は)パックご飯に興味があるということで、円安のからみもあって、チャンスなのかなと思う」
今年の上半期、農林水産物などの輸出額は4年ぶりに減少。政府の目標達成には暗雲が立ちこめています。
海外への販路拡大はできるか、日本の農林水産物の魅力が問われる2日間になります。
10年で輸出額3倍に 青森のりんごが台湾で人気
上村彩子キャスター:
日本の農産物は、品質が高く、海外で非常に高い評価を得ています。
例えば、青森県のりんごは、約10年ほど前から海外でPRを展開し、すでに人気が定着しています。
輸出額は、2012年に約43億円でしたが、10年後の2022年には約142億円、約3倍に増えています。
その輸出の約7割は、台湾が占めています。
りんごの赤は縁起が良く、そして台湾の旧正月(1月中旬から2月)にも出荷できることから、「贈答用」や「高級品」として人気があるそうです。
また、フルーツ王国の山梨県は、シャインマスカット・桃が爆売れしているそうです。香港や台湾で日本のフルーツの需要が高まっていて、輸出を展開しています。
山梨県産のフルーツは、品質も良く、糖度も高く、大人気だということです。
山梨県の担当者
「現地でのフェアやSNSで情報発信を続け、山梨県産が人気になりました」
他には、秋の味覚のさつまいもは、輸出に変化が起きているといいます。
宮崎県「くしまアオイファーム」によると、東南アジアを中心に輸出を展開していたそうです。香港のイベントでは、たくさんの人が集まり、何本もさつまいもを持つ人もいました。
しかし、宮崎県産だけでなく、茨城県産や鹿児島県産など、いろいろなさつまいもが海外に展開。現地で日本産の価格競争が起こり、儲けが少なくなってしまったそうです。
そこで、イギリスやドイツなどへの輸出も開始しました。輸出の金額もかかるので、現地では高級食材だそうですが、味も良いので人気はとても高いそうです。
「長期輸送に適した品種改良、実は硬い桃が」
オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
輸出品のうち野菜と果物は5%くらいと、まだまだ少ないんです。
冷凍できなかったり、飛行機などで輸送している間に傷んだりするので、なかなか難しいんです。桃もすごく人気ですが、国内だけでも傷みやすいです。海外に出すときに結構傷むことが多いんです。
なので、硬くてシャリシャリしている桃の品種改良がかなり進んでいます。国内でも結構固い桃は人気になってきていますが、輸出にも向いています。すごく可能性があると思っています。
ホラン千秋キャスター:
日本のフルーツや野菜は、美味しさはもちろん、ブランド化するのが非常に上手いじゃないですか。商品力も、すでにあります。それをどう長期輸送させようかという点がクリアできればもっと広がりそうですね。
オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
ブランドのイメージもすごくいいので、物流や輸送に耐えられる品質が追いついてくると、一気に伸びるポテンシャルがあると思っています。
井上貴博キャスター:
シャインマスカットなどのブランドの農産品の種が、海外に無断で持ち出されて中国などでも急拡大したという問題がありました。法改正して持ち出せないようにしましたが、日本のブランドはある程度守られているんですか。
オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
種苗法改正されてからは、特に守られているはずだと思っています。まさにシャインマスカットは、特に競争が激しくなって、香港などでも韓国産の安いものがいっぱい入っています。
ある意味、繰り返さないように、次の品種はしっかり守っていく必要があると思います。
「輸出しても価格が抑えられるシステム作り」
オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
最近、シンガポールでドン・キホーテがたくさん展開されています。現地で売っていたものよりも比較的安い金額で流通をしていて、富裕層だけではなく、一般の人も買いやすくなっています。
自社での物流にすごく力を入れているそうです。船で時間がかかっても、鮮度が悪くならないような技術(鮮度保持技術)を使って、なるべく安く出せるような仕組みを作っています。
こういったシステム面が整ってくると、もう少し安価に海外でも食べられるようになるでしょう。そうなれば、いろんな人に知ってもらえ、市場拡大が期待できると思います。
ホランキャスター:
安く抑えようとして、生産者が割を食うみたいなことは出てくるんですか。
オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
それはないです。基本的に、現在高いのは物流コストです。
それを抑えられれば、お客さんの買う値段も下がります。生産者の金額はそのままです。量が拡大すれば、その分収益が上がってくる形です。
井上キャスター:
これまで、高くてもある程度日本産は品質が良いので売れると言われていましたが、それを安くできるシステム作りはあり得るんですね。
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<プロフィール>
秋元里奈 さん
オンライン直売所「食べチョク」代表、33歳、神奈川の農家に生まれる。