東京・六本木のクラブで男性が襲撃され殺害された未解決事件から9月2日で12年。
当時、検視官として捜査に携わった現在の警視庁捜査一課長が単独インタビューに応じ、事件解決に向けた思いを語りました。
【写真を見る】重要指名手配 見立真一容疑者(45)は今どこに…事件から12年 警視庁捜査一課長“六本木クラブ襲撃事件”をカメラに初めて語る
人違いで・・・「ソファには大量の血だまり」警視庁捜査一課長 初めて語る六本木クラブ襲撃事件への思い
警視庁の佐藤雅一・捜査一課長。殺人や強盗事件などを捜査するチームのトップです。
12年前に起きた未解決事件について、単独インタビューに応じました。
佐藤雅一 捜査一課長
「目をつぶればご遺体の状況がでてきます。自分が取り扱った事件で未解決というのは、心の中でおりになってたまっている」
事件が起きたのは、2012年9月。
東京・六本木のクラブで暴走族グループ「関東連合」のメンバーらが、藤本亮介さん(当時31)を対立グループのメンバーとして金属バットで殴るなどし、その後、藤本さんは死亡しました。
目撃者
「すごい血を流していた(どこから?)口とか頭とか」
この事件で、佐藤捜査一課長は遺体の状況を調べる「検視官」として臨場していました。
佐藤 捜査一課長
「まず現場に入って、VIPエリアの机の上には酒瓶とかグラスが散乱していて、床にも割れたグラスが散乱していた」
警視庁によると、目出し帽をかぶった犯行グループは、奧のVIP席で飲食していた藤本さんのもとに真っ先に向かい、無言のまま、金属バットで何度も殴りつけ逃走します。
実はその後、被害者となった藤本さんは対立グループのメンバーではなく、「人違い」だったことが明らかになりました。
佐藤 捜査一課長
「ソファには大量の血だまりができていて、背面はガラス張りになっている。飛沫血痕が飛んでいる状態」
藤本さんの遺体が現場近くの麻布警察署に運ばれた後も、検視を行ったといいます。
佐藤 捜査一課長
「感じるんですよね、手とかから体温とか。非常に強い殺意を検視のときに感じました。手の甲の部分に皮下出血があった。防御創です。非常に無念だったろうと」
警視庁は事件直後、防犯カメラの映像を公開。
韓国やハワイなど海外に逃亡したメンバーもいましたが、事件からわずか4か月であわせて18人を逮捕しました。
事件の首謀者はいまも行方分からず 新たな似顔絵公開
しかし、唯一今も行方が分かっていないのが、事件を首謀したとされる見立真一容疑者(45)です。事件の2か月後にフィリピンへと出国していました。
佐藤 捜査一課長
「フィリピンや周辺国に潜伏している可能性もあるので、ICPO(国際刑事警察機構)による国際手配をしている」
その後、警視庁は行き詰まる捜査を打開するため、フィリピンの警察当局に働きかけ、異例の記者会見が開かれます。
フィリピン警察の会見(2015年)
「日本からの要請は、すぐに国内中の警察関係者に注意喚起してほしいと。ある地域・島はとくに重点的にと言われました」
さらに、有力な情報を寄せた人に対して、国籍を問わず600万円の懸賞金を支払うことを発表。
これまでに、国内外から1000件以上の目撃情報が寄せられたといいます。
目撃情報
「フィリピンのホテルで見立らしき人物を見た」
「パチンコ店に特徴が一致する男がいた」
警視庁は、こうした情報をもとにフィリピン当局とともに捜査を展開。
しかし、いまだ逮捕には至っていません。
警視庁は8月、新たに、見立容疑者の現在の姿を推測した似顔絵4種類を公表。
鋭い目つきに、ややとがった耳、唇の左上にほくろが特徴です。
事件から、9月2日で12年。
佐藤捜査一課長の事件解決への思いは、今も変わりません。
佐藤 捜査一課長
「未解決事件の遺族とか被害者は終わりがない。真実が明らかにされない限り、永遠に『どうして』と考えなければならない。遺族や被害者が、未来に一歩でも踏み出していただけるように。そういう環境を作ることが、捜査一課の使命と考えている」
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情報提供
警視庁麻布警察署
03-3479-0110