「またトラ」で世界の紛争どうなる? トランプ氏がプーチン氏と電話会談か 「エルサレムはイスラエルの首都」発言の過去…ガザ市民の思いは【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-11-12 13:01

トランプ氏の“圧勝”に終わったアメリカ大統領選挙。トランプ氏の就任は世界の紛争に大きな影響を及ぼしそうです。いまだ戦闘が続くウクライナやガザ。今後の展開はどのようになるのでしょうか。

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トランプ氏「私は戦争やめさせる」 ウクライナ紛争“早期終結”に意欲も…

ロシア国防省は10日、モスクワを狙ったウクライナ軍によるドローン攻撃があり、郊外で34機を撃墜したと発表しました。一部は落下して住宅で火災が起き、5人が負傷しました。

ニューヨーク・タイムズによりますと、ロシア軍は西部・クルスク州で北朝鮮の兵士を含めた5万人規模の兵力を集結させていて、数日以内に大規模な反転攻勢が始まる可能性があるということです。

激化するロシアとウクライナの戦闘。

トランプ氏(6日)
「皆、私が戦争を始めるというが、私は戦争をやめさせる

大統領選の「勝利宣言」でこう話していたトランプ氏。この翌日の7日、ロシアのプーチン大統領と電話会談をしていたとアメリカのワシントン・ポストが報じました。

トランプ氏はプーチン氏に「ウクライナでの戦闘をエスカレートさせないように」と伝えたうえで、ウクライナ紛争の「早期終結」に向けて今後も協議を続ける意向を示したといいます。

一方、ロシア側は「うその情報だ」としてこの電話会談を否定していますが、プーチン氏はトランプ氏の勝利を歓迎しています。

プーチン大統領
「この場を借りて彼がアメリカ大統領に選出されたことを祝福したい」

ガザ市民「彼は我々にとって敵」トランプ氏へ募る不信感

一方、「早期終結」を懸念するのは、ウクライナのゼレンスキー大統領です。

ゼレンスキー大統領(7日)
「私はトランプ氏が迅速な解決を望んでいると信じている。しかし、私は早期終結には損失が伴うと確信している」

アメリカ外交の専門家は、トランプ氏がウクライナ支援のストップを見据えていることが背景にあると指摘します。

上智大学 前嶋和弘 教授
「アメリカからの武器支援がないと(ウクライナは)戦争を継続することができない。今ここで停戦となると『(ロシアが支配している)東部と南部を諦めろ』という停戦。ロシア側は意図した通りですけど、ウクライナ側にとってみればとんでもない話。要するに風穴は開いた。ただ、この風穴の向こう側がいい世界かどうかは何とも言えませんよね」

さらにイスラエル軍による攻撃が続く中東・パレスチナ自治区のガザ。

ガザ市民
「彼(トランプ氏)は我々にとって敵だ」

現地の人達はトランプ氏に不信感を募らせます。

トランプ大統領(2017年当時)
「アメリカはエルサレムをイスラエルの首都と正式に認める

トランプ氏は前回の任期中に、パレスチナが帰属を争うエルサレムについて「イスラエルの首都」と認定するなど、イスラエル寄りの政策を取っていたからです。

前嶋和弘 教授
「(トランプ氏は)イスラエルはアメリカの51番目の州みたいに思っているところがあります。ここはもう最終的に自分を支持する世論がどこにいくのか。イスラエル支援はおそらく今の状況を見ると、まだ当面続きます

強大な力を持つアメリカ。世界の戦争の行方をも左右する今後のトランプ氏の動向に注目が集まります。

ウクライナ市民「今はとにかく戦争を止めてほしい」徹底抗戦から意識に変化?

小川彩佳キャスター:
須賀川さんは、ウクライナやイスラエルに度々取材に入ってきましたが、今後の情勢をどう見ていますか。

23ジャーナリスト 須賀川拓 記者:
地図から見ていきますと、マリウポリなどを含む東側の地域は、ロシア軍が侵攻している、ある種、占領している地域です。境界では今もたくさんの戦闘が行われています。

そのすぐ近くのミコライウという場所にも、ロシア軍がすぐ近くまで迫ってきています。私が取材したとき住民はやはり「西側、特にアメリカの支援がないと自分たちの土地を奪われてしまう」という危機感が非常に強かったです。

今回、改めてミコライウに住んでいる人に話を聞いてみました。

夫と幼い娘をロシア軍の巡航ミサイルの攻撃で殺害されたルドミラさんは「ロシア軍の攻撃はまだ続いている。今日もドローンの攻撃で4人殺された。もう戦争は嫌だ。家族を奪ったロシアは許せないが、今はとにかく戦争を止めてほしい」と話しています。

戦争当初の徹底抗戦という全体的な空気感から、意識が少しずつ変わってきてる人もいるのが現実です。

藤森祥平キャスター:
こういう人達はトランプ氏の言う「領土の割譲を認めて進んでいく」という政策には合意できるんですか。

須賀川拓 記者:
そこの真意はわからないです。ルドミラさんはそこに関してはっきりと言いませんでした。

ただ、領土割譲での停戦交渉となればロシア側、いわゆる侵略側から見れば“やったもの勝ち”になってしまう、これまで築き上げてきた国際秩序というものが根底から崩れることになってしまう。このまま戦い続けるのか、それともロシア有利の停戦を飲むのか。これは当事者であるウクライナが決めることです。

ただ、一点言えることは、今ここで停戦を飲んでしまえば、ロシアは再びキーウを狙って侵攻再開する可能性が強く残されていると言えると思います。

小川キャスター:
星さんはトランプ氏がどのような姿勢でウクライナ情勢に挑むと見ていますか。

TBSスペシャルコメンテーター 星 浩さん:
ワシントンの関係者に聞いてみますと、トランプ氏の周りは「選挙中は『すぐやめさせる』というキャンペーンをしていたので、やめさせるべきだ」という動き。それから外交の関係者の「そうは言ってもヨーロッパと足並みを揃えて、ロシアと向き合うべきだ」という議論があり今は拮抗しています

選挙中は「すぐやめさせる派」が多かったですが、だんだんその政権が近づいてくると、「やはり外交を重視しなければいけない」という議論が出ています。

トランプ氏という人は実は「アメリカは戦争をあまりやりたくない」と、それから「巻き込まれたくない」というのが本音です。アメリカの支援は、限定的にはするがヨーロッパと一緒にやるように、日本も含めアメリカを少しずつ巻き込んでいく、ということがこれから必要になってくると思います。

「戦争終結しても占領は残る」トランプ外交で戦争はどう動く

藤森キャスター:
一方、ガザ情勢はどうでしょうか。トランプ氏はこれまでも「イスラエルにとって私以上の友がいたことはない」など、かなり距離を近く感じさせるようなメッセージを送ってます。

須賀川拓 記者:
まず現地からの声をお伝えしたいのですが、現地で活動してる人道支援関係者によりますと、住民の中でもハマスの意向と関係なく、やっぱり出れるもんだったら出たいと。要するに今ガザは住める状況ではない、なので「出たい」と言っている人は確かにいる。

ですが、「トランプ氏ならば、戦争終結してもこの占領政策は残るだろう」と要するに「自分たちには今、選べる未来すらない」と極めて絶望的なことを言っているわけです。

やはりここでも、当初の徹底抗戦から住民の意識は少しずつ変わってきてはいますが、ウクライナとガザに共通して言えるのが、停戦すると相手の侵略や占領を許容してしまうことになる。なので、この辺りはしっかりと考えていかなければいけないと感じます。

星 浩さん:
トランプ氏は「ビジネスマン」という面もあり、アメリカの経済の立て直し、とりわけインフレを止めたいわけです。

イスラエルはもちろん応援しますが、それに反目してアラブが石油を持っているので、アラブの判断で石油が高くなり、アメリカの経済に影響を与えるのは避けたい。ですのでトランプ氏からすると「イスラエル応援したいが、アラブとうまくやり石油高に繋がるのは避けたい」という思惑がある。イスラエルを止められるのはアメリカしかないので、国際社会全体でアメリカによる抑止力というのをうまく利用していくしかない、そういう状況です。

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<プロフィール>
須賀川 拓さん
23ジャーナリスト
前JNN中東支局長
ガザ・イスラエル・イラン・シリアなど中東地域を取材

星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

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