日常会話でもたまに耳にする「てんやわんや」。
しかし、この言葉がどのような様子を意味する言葉なのかいまいち想像できない人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では「てんやわんや」の意味を解説します。
併せて、語感が似ている「てんてこ舞い」との違いについても紹介します。
「てんやわんや」とは
ここでは「てんやわんや」の意味を解説します。
「てんやわんや」の意味
「てんやわんや」は大勢の人が秩序なく動き回りごった返すことを意味する言葉です。
要は人々が無秩序にうごめいている様子を意味する表現です。
ただし、各自が先を争って混乱している様子のことを意味する場合もあります。
そう考えると「パニック状態を指す言葉」として認識するとわかりやすいのではないでしょうか。
「てんやわんや」の用い方・例文
「てんやわんや」はパニック状態を指して使用します。
もしくは人がごった返している様子を指して使用します。
・例文1:結婚式の準備で毎日てんやわんやである。
・例文2:パーティーでてんやわんやになっている。
・例文3:ハロウィン時期はいつも町がてんやわんやになる。
このように「てんやわんや」は人々が秩序を失って乱痴気騒ぎしているような場面で使用されるのが特徴です。
「手が付けられない」ようなニュアンスが含まれるため、どうしようもできないという意図で使用されることが多いです。
めちゃくちゃになっていることに対して「やれやれ」というような意図を込めて使用する場合も少なくありません。
「てんやわんや」の由来
ここからは「てんやわんや」の由来を解説します。
「てんでん」+「わや」から来たとする説
「てんやわんや」は「てんでん」と「わや」から成り立つ言葉という説があります。
「てんでん」は「各自が勝手に」などの意味を持つ言葉です。
「わや」は関西方言で「むちゃくちゃ」を意味する言葉です。
その「てんでん」と「わや」が合体してできたのが「てんやわんや」とされています。
大勢の人が勝手に振る舞って騒ぎ立てることの表現として使用されるようになったのだとか。
他にもワイワイと騒ぐ「わやわや」から来たとする説、私を意味する「わい」から来たとする説などがあります。
小説家・獅子文六の代表作から普及した言葉?
「てんやわんや」は小説家である獅子文六の新聞小説「てんやわんや」によって庶民の間にも普及した言葉とされています。
新聞小説の「てんやわんや」は昭和23年から翌年にかけて「毎日新聞」で発表された作品です。
作中では四国の田舎町に疎開した男性が個性的な人物たちと出会う様子を描いており、昭和25年には渋谷実監督により映画化もされています。
第1回ブルーリボン賞主演女優賞受賞を受賞するなど、作品の内容だけでなく役者の演技も光る作品だったとして注目されました。
その作品の影響もあって「てんやわんや」という言葉自体も広まったといえるのではないでしょうか。
「てんてこ舞い」との違い
「てんやわんや」と語感が似た言葉に「てんてこ舞い」があります。
しかし、両者は別物の言葉なので注意が必要です。
「てんてこ舞い」とは
「てんてこ舞い」は慌て騒ぐことを意味する言葉です。
他にも忙しくて落ち着かないことも意味します。
そのため、秩序を失ってパニックになっている状態を指す「てんやわんや」にも似たニュアンスがあるかもしれません。
しかし、両者は別物の言葉となるので注意が必要です。
違いとなるのは対象の人数
「てんやわんや」と「てんてこ舞い」は対象となる人数が異なります。
一般的に「てんやわんや」は大人数が対象となります。
対して「てんてこ舞い」は少人数が対象となるわけです。
現に「てんてこ舞い」は1人を対象としても使用できます。
対して「てんやわんや」は1人にはあまり使用されません。
そこは対象となる人数によって表現が変わると覚えておきましょう。
まとめ
「てんやわんや」は大勢の人が勝手に動き回って秩序を失っている様子を意味する言葉です。
端的に表現するならパニック状態などを思い浮かべると理解しやすいのではないでしょうか。
ただし、単に人がごった返している様子を指すこともあります。
このように「てんやわんや」は大勢の人が好き勝手動いている状態を意味します。
「てんてこ舞い」は1人など単数の人に使用するので、その違いも併せて覚えておきましょう。
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