なぜ?企業版「ファンクラブ」続々と…“精鋭ファン”のみ参加できる「試食会」も【THE TIME,】

今や推し活はエンタメだけでなく、企業にも広がっています。「あの商品が好き」「あの店が好き」という“愛が強い”ファンの力で、注文数が5倍になったメニューも。
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「ファンサークル」で社員と食事やサイン会
「本日限定、チーズたっぷりピザポテトをご用意しました」
ポテトチップスを製造する『カルビー新宇都宮工場』(栃木県)。
子どもから大人まで30人が集まった部屋では、特別なポテトチップスに歓喜の声が!
「これヤバくない?」「ヤバ―い!」
行われていたのは、「ピザポテトファン」を集めたファンミーティング。
開発者のサインをもらって「家宝にします」と喜ぶ女性ファンや、「30年間食べ続けているので、ぜひ子どもにも食べて欲しい」と話す男性ファンなどが参加しています。
今、こうした自社のファンを集めた「ファンサークル」を運用する企業が増加。
例えば『ダイソー』では社員との食事会、『コメダ珈琲店』では自社で植林をしている森にファンを招待しています。
「入会審査」でコアなファンだけを集める
しゃぶしゃぶ食べ放題・バイキング『しゃぶ葉』のファンサークル「おやさい学校 しゃぶしゃ部」が、3月某日に開催したのは、5月のフェアで出す予定の新作「味噌だししゃぶしゃぶ」の試食会。
30代~50代の女性ファン5人とお子さん1人が参加し、しゃぶしゃぶ用の牛タンはじめ、食べ放題の食材と<味噌だし>の相性をチェックしていますが、みなさん超真剣。
だしの濃さについて意見を求められれば、「濃さか…ちょうどいい濃さ」「定番に残って欲しい」という感想だけでなく、忌憚のない意見も口にします。
女性ファン(30代):
「香味野菜は、今回のだしよりは普段のだしの方が合う」
実は、この日集まっていたのは、「月3回以上しゃぶ葉に行く」という人や、「今週は3回。そのうち1日はしゃぶしゃ部のオフ会」という、“精鋭”のファン達。
そもそも、しゃぶ葉のファンサークルには男女10~60代と幅広い層が所属していますが、誰もが入会できるわけではありません。
『すかいらーくホールディングス』和食開発グループ岡田さん:
「しゃぶ葉がどのように好きかなど志望動機を書いてもらい、一定の基準をクリアした方のみ参加していただいている」
なんと!ファンサークルの入会に独自の審査を設け、本当にしゃぶ葉を愛する人だけを集めているのです。
企業の「ファンサークル」狙いは?
試食会では、コアなファンだからこそのアイデアも!
シェフが「牛タンととろろの合わせでご意見を」と投げかければ、女性ファン(30代)が、早速その場で〔卵+とろろ+味噌だし〕の特製アレンジつけダレを自作。
「ちょっと塩味が薄かった。もうちょっと…」と、だしを追加するなど、味の追求が続きます。
女性ファン(30代)
「美味しくはあるけど…完成じゃない気がする」
と、さらにニンニクを追加。一切妥協なしのファンの姿には、シェフからも「目の付け所がすごい。思ってもなかったことが出てくるので、本当に勉強になる」と驚きの声が上がります。
こうした“企業だけでは考えつかない新しい発見”は、売り上げにも貢献しているといいます。
和食開発グループ岡田さん:
「初回に発売した博多とんこつだしが、過去のフェアの約5倍の注文数という大ヒットになった」
ファンサークルは参加者にSNSなどで発信してもらう宣伝目的もありますが、「客が欲しいものは一番のファンに聞くのが一番早い」ということで、最高の“マーケティングツール”でもあるのです。
様々な場面で「ファンの声」を反映
ファンの意見を取り入れるのは、商品開発だけではありません。
しゃぶ葉では、アレンジ用の「ごま油」やデザート用の「ホイップクリーム」をファンの要望から置いてみたところ、「アレンジの幅が広がってすごく楽しい」と好評に。
味変のバリエーションを増やすのにも、ファンの力が一役買っているといいます。
こうした企業の反応は、ファンも嬉しいようで…
女性ファン(40代)
「試食会で食べたのが、お店に出ているのがすごい楽しい。なんかもう“しゃぶ葉の一員”みたいな感じ(笑)」
ファンも企業も嬉しいファンサークル。まだまだ広がっていきそうです。
(THE TIME,2025年3月24日放送より)