能登を再び襲う大雨「あの時を思い出す」 九州では収穫直前の野菜に深刻被害 収入の9割占める農作物がほぼ全滅【news23】
記録的大雨となった石川県能登地方では土砂崩れが相次いだうえ、道路の陥没で車3台が巻き込まれました。一方、大雨特別警報から一夜明けた熊本県では町の風景が一変し、農作物に大きな被害が出ています。
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「あの時を思い出す」 またも能登を襲う記録的大雨
12日も石川県では大雨が降りました。輪島市では…
高柳光希アナウンサー
「大雨の影響で道路が冠水していて、車が水しぶきを上げながら走っています」
石川県内は土砂崩れも相次ぎました。七尾市では国道が長さおよそ30メートルに渡って陥没し、車3台が崖下に転落。男性3人が重軽傷を負いました。
地元住民
「今崩れたところは沈下して、何回もアスファルトを上塗りしていた。だいたいこの辺りが危ないのは日常から知っておりました」
また、能登町でも道路が崩落。横にたっていた電柱も崩れ落ちています。
10日から記録的な大雨となっている石川県。輪島市ではこの2日間の降水量が300ミリを超えているところもあり、観測史上最大となっています。
もとやスーパー
「もとやスーパーです。今、雨が断続的に降り続いております。町野町はあと山道が一本、土砂で崩れれば孤立する状態」
撮影しているのは、輪島市でスーパーを経営する本谷さん。去年の地震と豪雨で被災しました。またも能登を襲う記録的な大雨に…
もとやスーパー 本谷一知 社長
「物流がほとんどストップしてしまって、商品はいずれ枯渇するでしょうね。みんなほぼ全員、あのときを思い出していますね」
本谷さんは万が一の時のため、店内に避難できる場所を準備しています。
もとやスーパー 本谷一知 社長
「もう一度、洪水が来た時のために2階にテントを張って、ちゃんと逃げられる場所にしてある」
能登では13日の明け方まで、土砂災害に厳重な警戒が必要です。
大雨で川が増水…京都で川床が流され女性客が川に転落
一方、京都市では貴船神社近くの料理旅館で川床が流され、79歳の女性客が川に転落しました。
川床は京都の夏の風物詩。川のせせらぎを聞きながら食事をすることができます。しかし…
近くの飲食店で働く人
「すごくいきなり水が迫ってくる感じだったので、川のそばにいて振り返ってヤバいと感じた」
警察などによりますと、当時、川床では6人が食事をしていましたが、急に川の水量が増えて浸水し、5人はすぐに逃げたそうです。流された79歳の女性客は、従業員の男性が救助したということです。2人とも命に別状はないということです。
熊本・八代市では24時間で8月の総雨量の約2倍の雨
大雨に襲われた九州では鹿児島県で1人が死亡、福岡県では2人が安否不明。熊本県では12日、2人の死亡が確認され、今も2人が安否不明のままです。
喜入友浩キャスター
「そこ見たらわかるんですけど、家の1階部分の窓の途中まで土砂が押し寄せているのがわかります」
背後に山が迫る熊本県八代市の興善寺町では、住宅街に土砂が流れ込みました。
喜入友浩キャスター
「家の真横を川が流れるように、流れが変わってしまったようです。消防の方が手作業で川の流れを変えているということです」
被害に遭った住民
「( Q.きょうもここで暮らす?)はい。もう恐ろしかったですよ。周りが全部水で」
エアコンの室外機は土砂に埋まり、自転車も…
被害に遭った住民
「とれないでしょ?」
喜入友浩キャスター
「もう、この自転車がびくともしないくらいの土砂が押し寄せてきています」
ここ八代市では、24時間で8月の総雨量の2倍近い雨が降りました。
収穫直前の野菜にも深刻な被害…収入の9割占める農作物がほぼ全滅
野菜にも深刻な被害が出ています。
ベビーリーフを育てている片岡孝充さん(35)。ベビーリーフはサラダや料理のトッピングに使われ、湧き水を使って栽培していることから「水源リーフ」という名で販売しています。
片岡さんは今年の出来に手ごたえを感じていました。
X「asisfarm」より
『去年の夏は失敗しまくりだったけど今年は今の所バッチリです』
『8月分はもっさり生えてまっせ』
しかし11日…
X「asisfarm」より
『線状降水帯により本日をもちましてベビーリーフ終了のお知らせ』
『やっと雨止んだよ』
『片付ける気もおきん』
1日経った12日、畑は…
ベビーリーフ農家asisfarm代表 片岡孝充さん(35)
「きのうの雨で全部泥水をかぶってるっていう感じ。(Q.ベビーリーフは収穫する直前だった?)本来ならきょうから収穫です。お盆シーズンなので普段より注文数が増えていて、それを全部断ったっていう状態」
収入の9割近くを占めるベビーリーフはほぼ全滅。さらに自家用車と配送用の軽トラックが水没して壊れ、トラクターも動くかわかりません。農作業をする場所も水に浸かり、モノが散乱しています。
孝充さんの母親 片岡智代さん(69)
「(Q.暑さもこたえますね?)そうですね…、頑張ろう…」
八代市が作付け面積全国1位を誇るトマトやミニトマトも被害を受けました。冠水したビニールハウスの中は…
池田農園 池田将宏 代表
「4日前に植えたばかりで、病気をひき起こしたり、ここから腐っていったりするので」
土も大雨の被害を受けていました。本来の土と、濡れた後に乾いた土を比べると…
喜入友浩キャスター
「(本来の土は)ふわふわ、やわらかい土。根が張りやすい。(濡れて乾いた土は)押してもひび割れるというか、固くなっちゃっているんですよね」
池田農園 池田将宏 代表
「根が張りにくいし、ちゃんと育つかわからない」
落ち込む池田さんのもとには11日、たくさんの電話がかかってきたといいます。
池田農園 池田将宏 代表
「知り合いだったりトマトの仕事関係の電話だったり、心配の電話いただいてありがたかったですね。全国のトマト・ミニトマトを支えてるのが八代市。僕の気持ちとしては全国に伝えてほしい。がんばってますよ、だから野菜食べてください」