税制改正で「年収の壁」「住宅ローン」「NISA」等はどう変わる? 「積極財政」財源の確保は?【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-12-02 22:17

政府・与党内で来年度の税制改正に向けた議論が本格化しています。住宅ローンにNISAまで。私たちの暮らしに密接に関わる税はどのように変わるのでしょうか?

【写真を見る】暮らしに身近な税で変わるもの

2026年度に向けた税制改正で生活は変わる?

高柳光希キャスター:
2026年度の税制改正に向けて、政府や与野党で議論が行われています。

【暮らしに身近な税が変わる】
・「年収の壁」の引き上げ
・ガソリン、軽油の暫定税率廃止
・住宅ローン減税
・NISA対象拡大
・自動車購入時の税の見直し
・出国税 引き上げ

このなかでも、減税に関して影響が大きいのが「NISA対象拡大」と「住宅ローン減税」です。

TBS報道局経済部 財務省担当 蓮井啓介 記者:
NISAは「18歳未満に対象を拡大しよう」という話が出ています。

以前は「ジュニアNISA」がありましたが、子どもが18歳になるまで引き出せないなどの制約が多く、利用者が少なかったため廃止されました。今後、使いやすさの部分をどのようにしていくかという制度設計が進められています。

そして住宅ローン減税に関しては、今、住宅価格が非常に上がっているのですが、中古物件の価格も上がっています。空き家が増えている中で、中古物件の活用が課題となっています。

現在は、中古物件よりも新築の優遇税制の方が高いので、中古物件の価格を新築並みにしていくための議論が行われています。

また、物価高騰の中で狭い家が増えていると思いますが、狭い家に対してもどのように手当をしていくのかも注目されています。

「年収の壁」と「ガソリン」で総額4.7兆円の大幅減税へ

高柳キャスター:
減税幅が特に大きいのが、「“年収の壁”引き上げ」と「ガソリン減税」です。

まず、「“年収の壁”引き上げ」から見ていきます。

2024年度の税制改正で、103万円から160万円に引き上げられました。それに伴い、1.2兆円の減税が可能になります。国民1人あたりに換算すると、2~4万円程度の減税になります。

さらに、国民民主党の案である178万円に引き上げられると、1.2兆円に加えて、さらに約2兆円が減税になり、合計で3兆2000億円まで減税ができるということになります。

さらに「ガソリン減税」も見ていきます。

【11月28日 法案成立】
▼12月31日で廃止
→ガソリン 25.1円/L

▼2026年4月1日で廃止
→軽油 17.1円/L

この2つを合わせると1.5兆円の減税となり、「“年収の壁”引き上げ」の減税と合わせると、約4兆7000億円の減税となります。

かなりの規模ですが、大丈夫なのでしょうか?

TBS報道局経済部 財務省担当 蓮井 記者:
この減税はかなり大規模で、財務省幹部も「財政的には失うものが大きい一方で、政府与党が得るものもある」と話しています。

少数与党の中では、野党の賛成を得るためにある程度妥協するような面もあり、政治が安定していないと、国民が求める減税に偏ってしまう側面もあると言えます。

井上貴博キャスター:
減税すると「財源はどうするんだ」という議論が出てきますが、「その問題は高市内閣だったら突破してくれるんじゃないか」という期待感が国民の中にあると思います。

円安が進んでいるのをどう考えるのか、2025年度の税収は80兆円になって、税収は増えているのに何とかならないのかなど、いろんな議題がある中でどのように受け止めるべきなのでしょうか。

経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
上振れた税収の一部を国民にお返しするというのが1つあります。

今回、21兆円の補正予算が組まれました。しかし中を見ると、国債の発行額というのは2024年よりも下回っています。たくさん発行しているわけではなく、2024年よりも金額自体は下回っているので、財政の均衡という意味では、最低限のところは守ったという結果になっています。

加えて、「対GDP比が200%を超えて大変だ」というような認識を国民が持っているかと思いますが、実は、税収の上ぶれによって低下してきていて、2024年には180%まで低下しています。今回、大規模な補正予算を組んでも179%まで低下していくので、実はしっかり借金の返済はできています。それは、名目GDPが成長してるからなんです。

このことから考えると、財政に対する考え方も少し変わってきますよね。

出水麻衣キャスター:
金利が変動していった場合、金利額が増えていくという心配はあるのでしょうか。

経済アナリスト 馬渕さん:
そこは注意して見なければならなくて、金利の急騰というのは問題になります。緩やかに上がっていくことはいいのですが、急騰は懸念になります。そこに関しては、日銀がコメントを出しながら「利上げ」をするかの判断を12月に行うという段階になっています。

「責任ある積極財政」掲げるも…財源確保に不透明感

高柳キャスター:
減税はあくまで“手段”であって、どのように景気を回復していくかということになります。

高市総理が掲げているのが「責任ある積極財政」です。積極的に投資を行い、経済を良くすることで税収を増やそうとしていますが、ただ、それで本当に十分なのかというとまだ不透明です。

減税した分をどのように確保するのか。

まず、▼出国税の引き上げで0.1兆円(1000億円)の規模。もう一つは、▼企業への税制優遇など「租税特別措置」の見直しです。この規模は未知数ということなので、この2つで4.2兆円を賄えるかどうか、少し曖昧なところもあります。

TBS報道局経済部 財務省担当 蓮井 記者:
この「租税特別措置」というのは、法人税の優遇税制をどのように削減するかということです。ここでは、削減しても最大2.9兆円規模です。

全てを賄うことは難しいとみられますが、どこまで無駄を削減していくか。これは高市内閣も力を入れているところなので、注目していきたいと思います。

高柳キャスター:
こうなると考えられるのが、「赤字国債の発行」です。

TBS報道局経済部 財務省担当 蓮井 記者:
予算(財源)が足りなくなり、赤字国債を発行すると、円の信頼が低下し、円安が進んでいきます。そうなると、輸入してくる食品を中心に物価高が進み、さらに生活を圧迫する恐れもあります。

せっかく減税したのに、中長期的に見ると「生活が良くなった」といった実感がないという悪循環に陥る可能性もあるので、そのバランスが非常に重要になると思います。

井上キャスター:
いろんな考え方があって「これ」という解がない。ですが今インフレになりつつある中で、「高市総理が進もうとしているところは逆効果なんじゃないか」という議論もありますが、円安の部分はどのように見ていますか?

経済アナリスト 馬渕さん:
円安は行き過ぎると、輸出企業はメリットを受けますが、国民生活にはダメージを与えます。なので、160円に動く中では、やはり口先介入と、「金利を上げますよ」といった発言が日銀から出てきているので、「過度な円安は止めたい」という思いがあるのだと思います。

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<プロフィール>

蓮井啓介
TBS報道局経済部 財務省担当
税制を取材
財布の紐は“積極財政”

馬渕磨理子さん
経済アナリスト
日本金融経済研究所代表理事
“日本一バズる”アナリスト
様々なお金の話をわかりやすく解説

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