夏に涼を感じる「よしず」と「すだれ」。その違いは設置方法に材料!?

2023-07-20 21:00

夏の日差しよけとしても重宝される「すだれ」や「よしず」。
ふたつとも古くから同じような目的で使われてきたうえに、形状も似ているので違いがわかりにくいです。

しかし、両者には設置場所や材料などに違いがあります。
そこでここでは、「よしず」と「すだれ」の違いについて解説します。

「よしず」と「すだれ」の共通点

まずは「よしず」と「すだれ」の共通点を解説します。

「よしず」と「すだれ」の効果

「よしず」や「すだれ」は、古くから涼を取るために使われてきた道具です。
玄関や窓辺に設置することで、風は通しつつ陽射しを遮ることができます。

また、よしずやすだれを設置することでカーテンのように部屋の目隠しをすることができたり、室内への虫の侵入を防ぐという効果もあります。

使用する際には、水をかけることで更に涼しくすると用い方をされることもあります。

「よしず」と「すだれ」のはじまり

「よしず」と「すだれ」では、それぞれ異なる歴史を歩んできたのでしょうか。

よしずの歴史

よしずがいつ誕生したのかは実は明確になっていません。
それでも、江戸時代頃にはすでにあったことが判明しています。

その材料となるのは、「葦(ヨシ)」という植物です。
現在でこそ生産量が減っていますが、かつての日本では川沿いや沼や湖などのまわりなど水辺で採取できる存在でした。
茅葺屋根の葺替えで用いられてきたほどなので、生活に根付いていた存在です。

すだれの歴史

すだれは中国で誕生したとされます。
漢書という、前漢の時代にまつわる歴史書の中でも登場することから、前漢の時代にはすでにあったということになります。

日本には、飛鳥時代には伝来していたとされます。
「君待つと 吾が恋ひをれば 我が屋戸の 簾動かし 秋の風吹く」という和歌があります。
これは、大化の改新で知られる天智天皇に宛てて額田王という女性が呼んだ一首となります。
この和歌に「簾」とある事から、この時点ですでに簾が中国などから伝来していたということが推察できます。

また、平安時代に貴族の邸宅様式である寝殿造りでは、大きな一部屋を細かく仕切るために用いられるようにもなりました。
他にもこの時代には、「御簾(みす)」と呼ばれる縁取りをした簾も登場しています。

設置方法で見る「よしず」と「すだれ」の違い

ここからは「よしず」と「すだれ」の違いを解説します。

「よしず」の設置方法

「よしず」は、軒先やベランダに設置します。
立てかける形で設置することで、日光が直接室内に入らないようにします。

「すだれ」の設置方法

「すだれ」は軒下に設置されることもありますが、サイズによっては屋内に設置されることもあります。

設置の際は、高さのある場所から吊り下げるというのがよしずとの違いの一つとなります。
屋外の場合は、風で揺れないよう紐を張ることもあります。

屋内の場合は、カーテンレールを利用したりフックを掛けることで吊るすよう設置します。
100円ショップなどで、すだれを取り付けるためのフックが販売されていることもあります。

「よしず」と「すだれ」の材料の違い

「よしず」と「すだれ」は、何で作られているのかという材料の違いもあります。

「よしず」の材料

伝統的な「よしず」の材料には、前述もした通り「ヨシ」が使用されます。

日本書紀では、日本ことを「豊葦原千五百秋瑞穂国(とよあしはらのちいほあきのみずほのくに)」という美称が用いられています。
これは、葦が草原のように豊かに生い茂っており、いつまでも穀物が豊かに実る国という事になります。
日本書紀の時代から、日本ではアシが豊富にあったことがこの美称ひとつからも分かります。

このヨシは、数も多く取れる上に軽くてまっすぐ伸びる性質があります。
何本もつなげるようにして糸で組んでいくのに最適だったことが分かります。
なお、立てかけて使うという性質上、「よしず」はヨシをタテに並べて編むことが多いようです。

「すだれ」の材料

「すだれ」の材料は主に「竹」が使用されます。

竹は日本で古くから様々な材料として重宝されてきました。
まっすぐ伸びて生長していくことや加工のしやすさから、家具や日用品、農具に漁労具そして多くの工芸品や玩具にも使われてきました。

簾を作る際は、竹を細く削ったものを糸で編んでいきました。
なお、竹だけではなくヨシで編まれたものも「すだれ」と呼ばれる事があったようなので、材料は厳密は違いにはならないのかもしれません。

現在では、「すだれ」を樹脂などの人工素材で作られたものもあります。

まとめ

「よしず」も「すだれ」も、古くから日除けとして用いられてきた道具です。
竹やヨシを編んで作られますが、どちらもわずかに隙間があるのでそこから風は通ります。
それでいて陽射しは通さないのですから、涼を求める夏場などは「よしず」や「すだれ」が活躍したことが容易に想像がつきます。

違いとしては、設置の仕方や材料、そして歴史等があげられます。

 
  1. 娘の内縁の夫を知る知人「店を継がせたいというのは何となく感じた」対立の瞬間は「見たことない」 那須町の夫婦遺体事件
  2. 子どもが深い穴の中へ…化粧品の“キラキラ感”に使われる鉱物「マイカ」の採掘に危険な児童労働
  3. 相鉄線 二俣川~海老名駅間で運転見合わせ 三ツ境~瀬谷駅間の踏切で人身事故
  4. 佐野慈紀さん 「切った腕と対面しました」「受け入れようと思いつつもやっぱり」 右腕切断手術後の状況明かす
  5. 「スリをしているぞ」賑わう築地での配信動画に偶然映った“スリとみられる行為” SNSで拡散され1600万回再生
  6. 【速報】プーチン氏 通算5期目の大統領就任 任期は2030年まで
  7. 那須町の夫婦遺体事件 夫婦娘の内縁の夫の男らが新たに逮捕 首謀者か 死亡した宝島さんの飲食店でマネージャーも事件後に姿見せず 警視庁
  8. 「大量の野菜を洗う動画」200万回超再生 安心安全の給食を届ける給食センターの“裏側”【ゲキ推しさん】
  9. 韓国の電車やコンビニを完全再現した「新感覚」の韓国料理店 大人気鍋「ナッコプセ」も食べ放題!コスパ抜群の行列のできる店【すたすた中継】
  10. 北朝鮮制裁を監視する「国連専門家パネル」がロシアの拒否権で事実上廃止…北朝鮮の兵器でミサイル不足を解決したいロシア
  11. 神田財務官きょうも市場を“けん制”も…円安の圧力続く 1ドル=154円台半ばまで下落
  12. イスラエル軍がラファ検問所に戦車を送り制圧 エジプトからの人道支援物資の搬入が停止 ロイター通信