猫の飼い主が知っておくべき『法律・条例』の話 無関係ではいられない関連法

2024-04-05 16:00

猫にまつわる法律や条例は、かけ離れたものではなく、実は、飼い主のみなさんにとっても身近に関わってくる問題です。今回の記事では、ペットを飼う上ですべての基本となる動物愛護法と各自治体の条例について紹介します。今後の愛猫ライフに役立ててみてください。

動物愛護法に明記された飼い主の責任

ハートと猫

動物の愛護と適切な管理のために、1973年に「動物の愛護及び管理に関する法律(※)」(以下、動物愛護法)が制定されました。その第7条には、飼い主が果たすべき責任として、6つのポイントが挙げられています。

  • 健康と安全の保持と迷惑防止
  • 病気の知識と予防
  • 逸走防止
  • 終生飼養
  • 繁殖制限
  • 身元表示(所有表示)

少し難しい表現もありますが、簡単に言うと「他人(周辺)に迷惑かけることなく、快適な飼育環境を整え、最後まで責任を持ってお世話しましょう」ということです。

みなさんにとっては当たり前の内容かもしれません。ただ、道義上だけではなく、動物愛護法の上でも飼い主の責任が明記されている点は、ぜひ覚えておいて欲しいことです。

猫(ペット)を飼うことは、命を預かること。動物愛護法は、その責任の重さを改めて伝える内容となっています。

※1973年成立当時の名称は「動物の保護及び管理に関する法律」。1999年の改正時に「動物の愛護及び管理に関する法律」に変更されました。

改正法ではマイクロチップ装着が義務化に

マイクロチップ

動物愛護法は、これまで計4回改正されています。その中でも、大きな変化があったのは、2019年6月の改正です。

その理由として、動物虐待や多頭飼育崩壊、悪質ペット販売業者などの社会問題があります。前項でも触れた飼い主としての責任を明確化し、不適切な飼育に対する罰則を強化しました。

みなさんにとって身近な変化は、やはり、マイクロチップ装着の義務化でしょう。動物愛護法第39条の2関係に「マイクロチップの装着に係る義務」として記されています。

マイクロチップは、直径1~2mm、長さ8~12mmぐらい、細長いカプセル状の電子標識器具です。世界にひとつしかない15桁の個体識別番号が記録されています。この番号に紐付けする形で、飼い主の個人情報がデータベース化(自身で要登録)されるしくみです。

2022年6月1日に改正内容が施行され、以降、ブリーダーやペットショップなど、販売業者から迎え入れる犬猫については、あらかじめマイクロチップが装着されるようになりました。

また、施行前から犬猫を飼っている人や譲渡を受けた人、保護団体に対しては、マイクロチップ装着を「努力義務」として規定しています。

阪神大震災や東日本大震災などの災害時、数多くの犬猫が迷子や行方不明になりました。マイクロチップの義務化は、そういった教訓のもと、導入された背景があります。

条例で知る自治体の取り組み

アマミノクロウサギ

法律だけでなく、各自治体が定める条例もまた、みなさんには無縁ではいられません。例として、2つの自治体を紹介します。

和歌山県の取り組み

和歌山県は、地域の環境保全と猫の殺処分削減を目的として、2017年4月1日に「和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例」を改正施行しました。飼い主のみなさんにも関わる項目は、以下の通りです。

  • 所有者を明確にする義務(飼い主の名前と連絡先が記入された首輪、名札、マイクロチップの装着)
  • 糞の後始末の義務(公の場所やよその家でした場合)
  • 屋内飼養の努力義務

県知事指導のもと、助言、勧告、命令を経て、それでも改善されない場合、5万円以下の過料が料せられます。

鹿児島県奄美市の取り組み

一方、沖縄県などの離島では、希少野生動物保護も重要な問題になります。たとえば、鹿児島県奄美大島全5市町村は、国の特別天然記念物、アマミノクロウサギを含む希少野生動物保護の観点から、2017年に「飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例」を改正しました。

以下は、奄美市の条例の一部抜粋です。

  • 飼い猫の登録
  • 首輪やマイクロチップの装着
  • 外飼い猫の不妊去勢手術
  • 飼い猫の譲渡、引っ越し、死亡の際は市役所へ報告する
  • 飼い猫以外にみだりに餌を与えないこと
  • 多頭飼育(5匹以上)希望の場合は、市役所に許可申請する

以上のルールを守らず、行政からの指導、勧告、命令でも従わないと、5万円以下の過料となります。

まとめ

猫と女性

今回の記事では、猫にまつわる法律や条例をテーマに、動物愛護法と2つの自治体の取り組みを紹介しました。

時代や社会情勢に合わせ、法律や条例の内容もそのつど変化していきます。昨今の際立った特徴は、不適切な飼育に対する罰則の強化と屋内飼育の推奨、マイクロチップ装着の義務化と言っていいでしょう。

飼い主としての責任を改めて見つめ直し、法律や条例上のルールを守りつつ、これからも愛猫を大切にお世話してください。

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