今年5月、男性が伊藤環境大臣に水俣病の苦しみを訴えているさなか、突然、マイクが切られ、発言がさえぎられた問題。8日、伊藤大臣と水俣病の関係団体との懇談が熊本県水俣市で改めて行われ、冒頭で大臣は謝罪しました。
【写真を見る】水俣病マイクオフから2か月…関係団体との再懇談で環境大臣が謝罪も認定制度見直しは「ゼロ回答」【news23】
謝罪から始まった大臣再懇談
伊藤信太郎 環境大臣
「本当に申し訳ございませんでした」
水俣病の患者・被害者団体から話を聞く懇談会は、伊藤環境大臣の謝罪から始まりました。そして…
伊藤信太郎 環境大臣
「本日は改めて十分時間を確保して、丁寧に意見交換をさせていただきたいと考えております」
団体側の発言時間に制限を設けずに行われました。その発端となったのは2か月前…
水俣病患者連合 副会長 松崎重光さん
「(私の妻は)去年の4月に『痛いよ、痛いよ』と言いながら死んでいきました」
松崎さんが亡くなった妻・悦子さんの苦しみや思いを訴えるさなか…
松崎重光さん
「私はいつも家内と話していました」
環境省職員
「申し訳ございません、話をおまとめください」
そして…
参加者
「スイッチが切られた」
当時、この懇談が大きく報じられました。
環境省職員(当時)
「事務局の不手際でございました。大変申しわけございません」
8日、水俣病の被害者団体からは職員を心配する声も…
被害者団体の関係者
「マイクを切った職員はどうだったか、ということにも思いをめぐらせます。その後、大騒動になって気落ちしていないか、その点は心配です」
また、団体側が早期の実施を求めてきた不知火海沿岸住民への健康調査について、伊藤大臣は「遅くとも2年以内に実施できるよう準備を進める」と初めて具体的な実施時期に触れました。
一方で、水俣病患者の認定制度の見直しに対する踏み込んだ発言はなく、団体側との意見の隔たりが改めて浮き彫りになりました。
被害者団体の関係者
「ゼロ回答と私どもは受け止めています」
要望書を提出していた団体側は国の姿勢を非難。
患者・被害者団体の関係者
「環境省は認定という公権力を使いながら、差別を助長しているんですよ。しかも家族ですよ、きょうだいですよ、親子ですよ」
患者団体の関係者
「胎児性患者のお母さまが水俣病と認められていないことをご存知ですか。どう思われますか?」
伊藤信太郎 環境大臣
「胸の痛む思いです」
再懇談は、10日と11日にも別の団体との間で実施される予定です。
認定の拡大には「岸田総理が政治決断が必要」
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
再懇談が始まったのはよかったのですが、「健康調査2年以内」というのが、いかにも遅いですよね。
それから一番大事なのは、認定の拡大ですが、全然ゼロ回答。実はこれは環境省だけで決められる話ではなく、お金を握っている財務省、裁判を抱えている法務省など、その辺が抵抗しています。そこは最終的には岸田総理が政治決断をして、認定の拡大に踏み出す、ということが必要になってくる局面です。
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<プロフィール>
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年