南海トラフ地震の評価検討会で会長を務める東京大学の平田直名誉教授は、8月に南海トラフ地震臨時情報が初めて発表された際の社会の反応について、「一部の人に予知情報として受け取られたことは残念」と述べました。
平田名誉教授はきょう、日本記者クラブで会見を行い、「臨時情報」が社会に与えた影響などについて講演を行いました。
その中で、地震予知を目指していたいわゆる「大震法」による対策から、2017年に地震予知を前提としない現在の形に大きく方向転換したことに触れ、改めて「臨時情報は地震予知の情報ではない」と強調しました。
東京大学 平田直 名誉教授
「一部に、臨時情報が予知の情報かのように誤解している人がいることは残念なこと。私は2017年に断腸の思いで『予知はできない』と申し上げたんですから、もうできないです。不確実性があることがリスク。地震が必ず来るとわかっていたら対策をとればいいですから、リスクではない。来るか来ないかがわからないからリスクになる」
平田名誉教授は「社会は地震予知に基づく対応をやらないと決めたのだから、社会全体で日ごろから備えなければならない」としています。