去年7月、東京・足立区の寺で住職を殺害した罪などに問われた石材会社代表の男に、検察側は懲役30年を求刑しました。
石材会社の代表、斎藤竜太被告(51)は去年7月、足立区の寺の地下にある納骨堂に侵入し、練炭に火をつけて住職の男性(当時70)を一酸化炭素中毒に陥らせて殺害したほか、住職の妻と次女も殺害しようとした罪に問われています。
斎藤被告はこれまでの裁判で、「私がしてしまったことに間違いありません」と述べ、起訴内容を認めています。
きょうの裁判で、検察側は、斎藤被告と住職には霊園事業をめぐるトラブルがあったと指摘し、「被告人は住職さえいなければ、事業が好転すると思い、強い憎悪を抱いていた」「犯行は卑劣かつ狡猾で、無差別殺人に近いものだ」として、斎藤被告に懲役30年を求刑しました。
一方、弁護側は「被告人は霊園の運営をめぐり、住職から侮辱されるなどして、怒りや悲しみがあった」「犯行に至るまでの経緯には酌むべき点がある」として、懲役20年の判決を求めました。
斎藤被告は裁判の最後に、「住職の命を奪ってしまったこと、残りの人生を奪ったこと、大変、申し訳なく思っています」と謝罪しました。
きょうの裁判では住職の遺族が意見陳述し、「被害者は家族思いの優しい人でした」「目の前で、手の届くところにいたのに何もできず助けることができなかった」と当時の悲痛な思いを語り、斎藤被告については「重い処罰が下されることを望みます」と話しました。