日本選手権で失敗した2人が世界陸上代表を決めるには?男子100m・栁田大輝と走幅跳・橋岡優輝が快勝【オールスターナイト陸上2025】

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2025-08-13 12:00
日本選手権で失敗した2人が世界陸上代表を決めるには?男子100m・栁田大輝と走幅跳・橋岡優輝が快勝【オールスターナイト陸上2025】

2025オールスターナイト陸上(実業団・学生対抗)が8月9日、神奈川県レモンガススタジアム平塚で行われた。男子100mは栁田大輝(22、東洋大4年)が10秒11(追い風0.5m)で、男子走幅跳は橋岡優輝(26、富士通)が8m08(追い風2.6mで参考記録)で優勝した。世界陸上と五輪で入賞経験がある橋岡と、23年ブダペスト世界陸上で準決勝に進んだ栁田。2人とも7月の日本選手権で失敗し、東京2025世界陸上代表争いで微妙な立場に置かれているが、この日は2位との差で力があるところを示した。2人は今後、どのような戦績を残せば代表入りができるのだろうか。

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橋岡は1週間後の標準記録突破につながる助走

3回目の跳躍だった。今季は砂場に着地した後に首を振ることが多かった橋岡が、拳を握りしめた。記録は8m08。追い風参考記録になったが、日本選手権の4〜8位選手が揃った中、2位に39cm差をつける圧勝だった。

しかし4回目に7m89(追い風1.5m)を跳んだ後の5、6回目はパスをした。

「脚が攣(つ)りそうなくらい、(湿度が高く)変な空気だと感じたからです。3、4本目である程度、来週につながる良い助走はできたので、無理をするより見送る方がいいと判断しました」

“来週”とはAthlete Night Games in FUKUI(走幅跳は8月15日)のことで、そこで世界陸上参加標準記録(8m27)突破に挑戦する。福井の9.98スタジアムは橋岡にとって、自己記録の8m36を跳んだ相性の良い競技場だ。

この種目は標準記録突破者がゼロで、日本選手権終了時の内定者は出なかった。現時点では日本選手権入賞者で、Road to Tokyo 2025(標準記録突破者と世界ランキング上位者を1国3人でカウントした世界陸連作成のリスト)の世界ランキングで出場枠の36位以内に入っている山浦渓人(24、勝浦ゴルフ倶楽部。日本選手権優勝)、橋岡(同4位)、津波響樹(27、大塚製薬。同5位)の3人が代表争いでリードしている。

しかし今後、日本選手権2位の伊藤陸(24、スズキ)と、同3位の藤原孝輝(23、東洋大大学院)が世界ランキングで出場圏内に入ってきた場合、代表は山浦、伊藤、藤原となる。しかし橋岡がAthlete Night Games in FUKUIで標準記録を跳べば、日本選手権の上位3人全員が標準記録を跳ばない限り、代表入りが決まる。

栁田は記録を目指すしかなかった

男子100mは世界陸上代表選考上、極めて重要な大会になった。

9秒96(追い風0.5m)と昨年のうちに標準記録(10秒00)を突破済みのサニブラウン・アブデル・ハキーム(26、東レ)が、ケガの影響で日本選手権は予選落ち。日本選手権終了時に代表内定者が出なかった。その結果代表選考の最上位項目は、日本選手権入賞者の標準記録突破になった。2番目の項目は日本選手権入賞者の、Road to Tokyo 2025世界ランキングでの出場権獲得者になる。

7月末のインターハイで清水空跳(16、星稜高2年)が、10秒00(追い風1.7m)と標準記録に達したが、清水は日本選手権では準決勝止まりで1、2番目の項目には該当しない。

しかし8月3日の富士北麓ワールドトライアルでは桐生祥秀(29、日本生命)が9秒99(追い風1.5m)、守祐陽(21、大東大4年)が10秒00(追い風1.3m)と、日本選手権入賞者が標準記録をクリアした。その時点で桐生は代表入りが確定し、守は他の日本選手権上位選手の結果次第、という状況になった。日本選手権入賞者で項目1、2を満たした選手が他に現れなければ、標準記録突破者で記録最上位のサニブラウンが代表入りする。

その状況で迎えたオールスターナイト陸上は、日本選手権入賞者5人が揃った。2位の大上直起(25、青森県庁)、3位の関口裕太(20、早大3年)、5位タイの小池祐貴(30、住友電工)と多田修平(29、住友電工)、そして8位の木梨嘉紀(23、筑波大院)。この5人の誰かが標準記録を破れば、選考の優先度でサニブラウンを上回る。

それに対して栁田は、日本選手権は予選でフライングをして失格していた。他の入賞者が1、2番目の項目に該当する戦績を残せば、代表入りすることはできないが、オールスターナイト陸上の栁田は強かった。得意のスタートから序盤でリードを奪うと、後半も危なげなく逃げ切った。優勝記録は10秒11(追い風0.5m)で2位に0.10秒差をつけた。

栁田が代表入りするには標準記録を切るだけでなく、サニブラウンの9秒96に並ぶ必要がある。選考要項ではRoad to Tokyo 2025の順位(標準記録突破者は記録)で並んだ場合は、今季の主要大会の成績が判断材料になり、栁田がサニブラウンを上回る。

栁田は日本選手権で優勝しても、記録を狙うことは同じだった、と引きずっていない。

「結局、桐生さんも守君も標準記録を切ったので、僕が日本選手権で勝っていたとしても、もう1人誰か標準記録を切ったら僕も切るしかなかった。日本選手権はもう忘れて、もう標準切るだけじゃダメですけど、記録を出すことに集中しています。それに日本記録(9秒95)は、世界陸上に出られる、出られないに関わらず、今シーズン目指して行く記録です」

Athlete Night Games in FUKUI(100mは8月16日)は東洋大の先輩である桐生が、日本人で初めて9秒台(9秒98)を出した9.98スタジアムで開催される。栁田は先輩に続くつもりだ。

1週間後の福井に期待できる理由は?

橋岡、栁田とも記録への感触は良い。

橋岡は22年シーズン後に練習拠点を米国のタンブルウィードTCに移し、23年シーズンからスプリンターに近い助走に取り組んできた。しかし昨シーズンは3月に8m28(追い風1.4m)を跳んだ以外は、小さな故障が断続的にあって8mを跳ぶことができなかった。今年も5月のクロアチアの試合で脚を痛め、7月の日本選手権は22年までの助走で戦った。

「今は中間を取るような意識で助走をしています。米国で学んだ走りも定着し始めましたが、そっちに振り切ってしまうと踏み切りのリズムが合わないことがわかりました。以前の助走スタイルと上手くミックスさせながら、場面場面に応じた助走をしています。助走前半は米国のスタイルより、しっかり地面を押していますね。体の調子にも左右されるところが大きく、まだ完璧とは言えませんが、なんとなく見えてき始めました」

橋岡は5月の取材で、当時はまだミックスさせることは考えていなかったが、何か気づきがあれば一気に記録に結びつく可能性に言及していた。そのきっかけが以前の助走とミックスさせることであれば福井で、自己記録の8m36だけでなく、日本記録の8m40を更新する可能性もある。

栁田は今季、好調を持続していた。4月の日本学生個人選手権で10秒09(追い風1.8m)、5月の関東インカレでは9秒95(追い風4.5mで参考記録)をマーク。5月のゴールデングランプリは10秒06(追い風1.1m)、アジア選手権も10秒20(追い風0.6m)と、国際大会で2連勝。Road to Tokyo 2025の世界ランキングを大きく引き上げた。日本選手権は失敗してしまったが、7月のワールドユニバーシティゲームズ(ドイツ)も10秒23(向かい風0.7m)で3位に入った。

オールスターナイト陸上では自身に対し、日本記録が出る期待をすることができた。「ドイツから帰国して少し休んだ後に練習してくる過程で、徐々に良い感覚が出てきて、徐々に調子が上向きになってきたので、あとは風などの条件かな、と思っていました」

強めの風が吹くことが多いレモンガススタジアム平塚だが、この日は追い風が0.5mと少し弱めだった。Athlete Night Games in FUKUIで吹く風は天のみぞ知ることだが、良い走りを続けていれば、運が味方する確率も大きくなる。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

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