いま、けん玉が様変わりしていて、スポーツ競技として世界的なブームとなっています。7月に広島・廿日市市で開かれたワールドカップで3連覇を目指すけん玉チャンピオンに密着しました。
【写真を見る】世界が熱狂「けん玉W杯」スゴ技連発!進化する「KENDAMA」逆輸入で日本で再ブレイクも【news23】
世界が熱狂 スゴ技連発“けん玉W杯” 3度優勝した絶対王者は自信満々
けん玉の聖地、広島県廿日市市。この日、町なかではけん玉をする人であふれていました。
というのも…この夏に開催されたけん玉世界一を決めるワールドカップ「ウッドワン けん玉ワールドカップ廿日市2024」。アメリカや中国など、16の国や地域から約1000人が集結しました。
アメリカからの参加者
「けん玉は無限の可能性を持っています。新しいトリックや新しいスタイルとか」
このW杯の予選で、“スゴ技”を連発する選手がいました。
試合が終わると、写真撮影やサイン攻めにあう高校生・五十嵐拓哉選手。このワールドカップで2年連続、3度の優勝を果たしたけん玉界のホープです。
“けん玉W杯”3回優勝 五十嵐拓哉 選手(17)
「優勝以外ないんで自信満々です。ライバルはあんまりいないですね。自分だけ。自分との戦いなんで」
絶対王者は自信に満ちあふれていました。
ファンを惹きつける彼の技は、たたみかける連続技。複数の技を組み合わせて、成功した技の合計点で競います。
そもそも世界的なブームとなったのは、約20年前に来日したアメリカのプロスキーヤーがけん玉をするシーンを自身のDVDの特典映像に入れたことがきっかけです。
ドイツからの参加者
「けん玉が大好き。毎週、日曜日に練習しています」
「自信しかないです」絶対王者に隙なし 長年サポートする人「技が決まるまで練習をやめない」
けん玉は逆輸入の形で日本でも再ブレイク。5月に横浜で行われたイベント「GLOKENカップ」も、熱気にあふれていました。
2023年からけん玉を始めたという少年は…
小学6年生
「(けん玉は)毎日できるのと、いつでもどこでも出来るから、そこがいい」
この少年のあこがれは、ワールドカップチャンピオンの五十嵐選手です。
五十嵐選手がけん玉と出会ったのは8歳のとき。
五十嵐拓哉 選手
「練習した分だけ、実力、結果が出るので、そこが(けん玉の)魅力だと思っています」
ワールドカップ決勝まであと1週間に迫った日、五十嵐選手は都内の公園へ。気分転換も兼ねて、けん玉仲間と練習です。
五十嵐選手を長年サポートしている人は…
五十嵐選手を長年サポート
「五十嵐選手は本当にけん玉が好きなんだなと感じてて、3時間、4時間、5時間、6時間(練習)続けて、(技が)決まるまでやめないというのが彼の凄い魅力」
いま、ワールドカップ王者に隙は見当たりません。
五十嵐拓哉 選手
「気持ちとしては全然まだ余裕で勝てる感じがします」
――自信ある?
「自信しかないです」
引退も考えていた敵なし王者の涙
そして迎えた決勝の7月28日。
会場で練習する五十嵐選手に仲間が声をかけます。すると…
五十嵐選手
「おれ、大会終わったら引退するし」
仲間
「ほんまに?いやいやそれはだめよ」
五十嵐選手
「マジでマジで。おれマジで引退って言っている」
仲間
「おまえ、おもろないって」
五十嵐選手
「だって相手がおらんもん」
3連覇がかかった大会。ライバルがいないことで、王者は引退も考えていました。
そして、始まった決勝戦。会場をヒートアップさせたのが、中学1年の川本選手のパフォーマンス。MCは飛び跳ねて実況し、会場も割れんばかりの声援を送ります。
そんななか、淡々と出番を待つ五十嵐選手。
MCによる呼び込み
「この状況のなかで出るにふさわしい、3回W杯チャンピオン・五十嵐拓哉」
五十嵐選手は大技で高得点を重ねます。そして、優勝をかけた最後の大技は…決めることができませんでした。
涙を流し、負けを受け止められません。
表彰式で今後の目標を聞かれると…
五十嵐選手
「すみません、今後の目標は来年も優勝することです」
引退はせず、来年の優勝を観客と約束した五十嵐選手。
初優勝 川本凌雅選手
「(今後の目標は)来年も優勝することです」
そして、初優勝を果たした川本選手に五十嵐選手は、トロフィーを掲げるようジェスチャーをしました。
五十嵐選手
「凌雅くんがまだ幼いので、会場を盛り上げる『あおり』がまだできないので、そこも教えつつ、ちゃんと優勝したらもっと喜びなよということで、ああいうことをしました」
「けん玉の魅力は自分の感情をどうコントロールできるか」
悔し涙を流した大会から1か月半。改めて、けん玉の魅力が確認できたと話します。
五十嵐 選手
「勝ち負けとかじゃなくて、自分の感情をどうコントロールするかをけん玉で体験、挑戦できるところが魅力。けん玉って1人でやるものじゃなくて、友達や知り合いが応援してくれるので、めちゃくちゃ楽しい存在です」
再ブレイク中のけん玉 運動不足解消にも
上村彩子キャスター:
会場の雰囲気がスケートボードなどのアーバンスポーツの取材に行った時と同じように感じました。MCやDJもいて、すごい熱気でした。
喜入友浩キャスター:
スポーツとして成立している感じがしました。
一方で、高齢者の運動不足解消ツールとしても注目されているようで、その幅の広がりを感じます。
上村キャスター:
確かに、足腰や腹筋も使いますね。場所を問わず練習もできますし、性別や年齢関係なく競えるのも、とても魅力的に映りました。