「ビットコイン」なぜ高騰?決済手段⇒金融商品になれば「どんどん広がっていく」可能性も【Bizスクエア】

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2025-08-13 06:30
「ビットコイン」なぜ高騰?決済手段⇒金融商品になれば「どんどん広がっていく」可能性も【Bizスクエア】

日本でも制度上の位置づけを変える議論が始まっている「暗号資産」。その現状と今後の可能性を、暗号資産取引所大手『ビットバンク』の廣末紀之社長(57)に聞く。

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価格高騰の陰に「ドル覇権強化」の狙い

7月14日、1ビットコイン=12万3089ドル(約1800万円)となり史上最高値を更新した暗号資産の「ビットコイン」。

暗号資産とは、インターネット上でやり取りされる「通貨のような財産的価値」のことだが、紙幣や貨幣などのような実体はない。

ビットコイン保有歴3か月の女性:
「結構増えた。思っていたよりも全然。こんなにって感じ」

保有歴1年の男性:
「何か怪しいものとして見られがちなビットコインだけど、そうじゃないという理解が広まればいい」

なぜビットコインの価格は上がり続けているのか―
暗号資産取引所大手『ビットバンク』(東京・品川区)のマーケット・アナリストにその理由を聞いた。

『ビットバンク』マーケット・アナリスト 長谷川友哉さん:
「アメリカで“暗号資産の規制緩和と明確化”という動きがあり、そういったところに反応して相場が上昇している」

トランプ大統領は「アメリカを暗号資産大国にする」という構想を掲げていて、7月には「ステーブルコイン」の規制整備に関する「ジーニアス法」が成立した。

「ステーブルコイン」は、ビットコインと同じ暗号資産の1つだが
▼価格を安定させるためドルなどの法定通貨や金などに連動させている
という点でビットコインとは異なる。

ジーニアス法の狙いは、何なのか―

長谷川さん:
「従来の金融システムよりも遥かに安価に国際的な送金ができるステーブルコインをどんどん推し進めていって、“ドルの覇権を強化”していく狙いがある」

日本でも「決済手段」から「投資対象」へ

日本でも金融庁の審議会で、「暗号資産に関する制度の改正」について7月から本格的に議論が始まっている。

現在、暗号資産は日本では「資金決済法」で“決済手段”として位置づけられている。
その一方で最近は、暗号資産が“投資目的”で取引されていることから、「金融商品取引法」で、株式などと同じ金融商品として位置づけるかどうかが検討されている。

日米で広がる暗号資産の規制緩和は、ビットコインにどのような影響を与えるのだろうか―

『ビットバンク』マーケット・アナリスト 長谷川友哉さん:
「アメリカ政府が3月に『戦略的ビットコイン備蓄(準備金)』を創設させた。アメリカ政府がビットコインを定期的に買っていくという運びとなれば、新たな実需の創出となるので、“相場にとってもプラスの材料”になっていく」

ビットコイン高騰には「いくつかの伏線」

暗号資産関連の協会で会長や理事も務める、『ビットバンク』の廣末紀之社長(57)にもビットコインの現状と今後の可能性について聞いた。

まずは、【ビットコイン高騰】について。

▼2017年⇒1ビットコイン=約1000ドルからスタート。年末に2万ドルまで上昇し世界的なブームに
▼2025年⇒4月以降急激に値を上げ、7月14日に1ビットコイン=12万3089ドル(約1800万円)史上最高値更新

出典:Glassnode

――トランプ大統領就任式の1月頃は高値でその後いったん下がり、また4月から上昇というのは期待感が高まっているから?

『ビットバンク』社長 廣末紀之さん:
「ここに至るまでいくつか伏線があって、暗号資産の供給量が少なくなったり、マクロの金融緩和のフェーズに入っていること。あるいはETFという金融商品が誕生したこと。駄目押しだったのがやはりトランプ政権が『アメリカを暗号資産大国にする』と宣言したこと」

「価値が上がる源泉」は優れた技術

2009年に誕生し、今や時価総額330兆円となっているビットコインだが、廣末さんが考える【優れている点】はどこなのか。

【ビットコインの特徴】
▼中央銀行のような特定の管理者がいない
▼改ざんが非常に難しい(ブロックチェーン)
▼発行量の上限が決まっている(2100万枚)
▼インターネット上で誰でもどこへでも送金可能

『ビットバンク』社長 廣末紀之さん:
「技術的に非常に優れている。誕生から16年になるが、特定の管理者がいないのにペイメントシステムは正確に動いている。システムにおいて可用性(システムが停止することなく稼働し続ける能力)が100%というのは非常に信じがたいこと。それと、(取引記録を複数の参加者間で共有する)ブロックチェーンは、改ざんが事実上不可能な非常に堅牢な台帳を作っている。こういうのが技術的に非常に素晴らしく、価値が上がってる源泉だと思う」

トランプ政権「暗号資産推進」の狙い

【トランプ氏が暗号資産を推進する】狙いについては、4つのキーワードをあげる。

▼業界の支援
▼戦略的準備資産
▼民間主導
▼規制緩和

『ビットバンク』社長 廣末紀之さん:
「トランプ氏が民主党に勝つための一つの戦略的な柱として、なぜ暗号資産を掲げたのかというと、暗号資産の業界が非常に大きくなって無視できなくなってきたから。票も欲しいし、暗号資産業界の人たちから献金をもらって選挙を戦うというのは、トランプ氏の一つの大きな選挙戦略」

――そして「準備資産」として明確に位置づけて、公的機関や企業が資産として持てるようにしようと。しかも、中央銀行ではなく「民間主導」で暗号資産を普及させて、「規制緩和」も同時に進めていくと

廣末さん:
「戦略的準備資産というのは、アメリカ政府が持っているバランスシートに、例えばいろんな外国の国債やゴールドなどを持っているわけだが、その中にビットコインも入れようということ。巨大な政府資産の中で仮に1%でも2%でも入ると需要が高まるので価格的にもインパクトがあると言われている」

「凄まじい人気」ビットコイン現物ETF

――すでにアメリカでは金融機関もビットコインを持ち、現物ETF(上場投資信託)もできている

『ビットバンク』社長 廣末紀之さん:
「2024年1月に、ビットコイン現物ETFができて凄まじい人気になっている。機関投資家などが『待ってました』とドッと入ってきた感じで、1年でゴールドのETFの残高を超えるぐらいに成長している」

――ETFがあると、例えば廣末さんの会社に口座を作ってビットコインを直接持たなくても、投資信託と同じように投資できる

廣末さん:
「既存の金融機関だと、やはり我々のような新興の暗号資産の取引所に口座を作って取引するというのは、硬い取締役会だったら『ダメでしょ』となるが、既存の大手証券会社から金融商品という形なら『いいんじゃない』みたいな。こういうパスが非常に広がった。さらにアメリカの401k(雇用主と従業員が互いに積み立てる確定拠出型年金制度)にも暗号資産の組み入れがOKになった。アメリカで一番保守的な年金基金でOKになるというのは本当にアメリカらしいというか先進的」

「ステーブルコイン」日本での普及は?

また、トランプ政権が力を入れる【ステーブルコイン】について。

【ステーブルコインの特徴】
▼1単位=1ドルのように“価格が安定”
▼法定通貨や資産に価値を連動させる
▼民間企業が発行

――1コイン=1ドルみたいなものが普及すれば、ドルを使う人が増えてドル覇権が続けられる。しかも裏付け資産としてアメリカ国債を買ってくれるかもしれないという、一石二鳥のトランプ氏らしい発想

『ビットバンク』社長 廣末紀之さん:
「今アメリカは財政赤字の問題があり、アメリカ国債のグレードが下がっている。ステーブルコインが普及すればするほど、米国債を買ってくる主体ができるので、アメリカにとっても本当に渡りに船」

――日本でも、1単位=1円のようなステーブルコインが出てくる可能性は?

廣末さん:
「そもそも日本では2023年に、ステーブルコインの発行も流通もできる法律がすでにできているので可能性はある。ただ、すでにPayPayなど色んな決済手段があるので、日常のどこにユースケースがあるかは今のところピンとこない」

「決済手段」⇒「投資対象」で変わること

日本でも、暗号資産を再定義しようとする動きがある。

支払い手段【資金決済法】⇒投資対象【金融商品取引法】
▼申告分離課税の実現? 総合課税 最大55%⇒20%
▼レバレッジ規制の緩和? 2倍⇒5~10倍
▼日本版ビットコインETFの誕生?

――実現すると、例えば最大55%の総合課税が株式取引やFX取引と同じ申告分離課税の20%になる可能性もあると

『ビットバンク』社長 廣末紀之さん:
「分離課税というのはどちらかというと“特別に優遇された税体系”。支払い手段となると分離課税は法体系的に無理なので、まず金融商品の枠組みで整理をする。支払い手段⇒投資対象と、実態に合った法律になり、それで税制が変わり、金融商品化が進みとどんどん広がっていく方向になると思う」

(BS-TBS『Bizスクエア』2025年8月9日放送より)

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